• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

デザイン要素の「ちがい」を魅力に変える「目利き力」の感性科学的基盤解明

研究課題

研究課題/領域番号 23611004
研究機関筑波大学

研究代表者

山中 敏正  筑波大学, 芸術系, 教授 (00261793)

研究分担者 五十嵐 浩也  筑波大学, 芸術系, 教授 (80258839)
内山 俊朗  筑波大学, 芸術系, 講師 (50334058)
キーワード感性 / デザイン / 脳機能
研究概要

平成23年度において,脳機能計測装置によるプロダクトデザインの評価構造における一般学生とデザイン教育経験学生の評価構造の違いを明らかにした.デザイン要素の中でも,目利きにつながる経験的特性が反映される評価要素は,シンプルなどの形態的な評価要因ではなく構造の安定性のような設計的な要因であることが明らかになったが,この結果はあくまでも学生を被験者としたものであり,本格的な「目利き」の特性とは言いがたいという疑問が残った.
そこで,平成24年度はよりデザイン経験の高い企業においてデザイン実務の経験を持った被験者と学生を比較することとし,複数の企業に所属するデザイナーと大学において特にデザイン/美術の専門教育を受けていない被験者を採用し,デザイナーの所属企業を考慮して液晶テレビ,車,カメラ,電子レンジの画像をサンプルとして,印象評価を行った.SD法による評価項目は平成24年度を踏襲することで比較検証を計画した.また,所属企業の製品と競合企業との製品を評価させることによって,「目利き」につながる専門的経験と自社製品という愛着につながる要素の評価への影響の強さについても検討することができるように実験計画した.
SD 法による評価結果からは 法による評価結果からは 法による評価結果からは,デザイナーはより厳しい見方で製品評価を行い,細かな評価や判断基準をもっている可能性があること, 好きな嫌いど情緒的価値におても否定評価することが多く,単に嗜好だけでなく経験則からモノの価値を判断,評価していると考えられた.
NIRSによる oxyHb濃度の変化量からは,デザイナーと学生間で前額部正中付近で違いが生じたことから経験特性と正中付近の脳活動関連が示唆されたが ,感情や思考も併せて影響しいるとえられ断定は難しいという結果となった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

目利きにつながる経験的要因と製品評価の関連について,当初の計画を超えてデザインを専門的に行っているデザイナーを被験者として実験を行うことができた.実験は当初の計画通り 感性語を用いたSD評価と前頭前野と中心とした脳機能計測の相互比較によって実施したが,SD法による評価ではより明瞭に評価傾向の違いが明らかになり,デザイナーは細かくまた否定的な評価も含めた判断をおこない学生は見慣れているかどうかという経験的な要素が評価に影響する傾向があることを見出した.

今後の研究の推進方策

本年度の実験では,新たに「目利き」に加えて自社製品であるかどうかという「愛着関連要因」を加えたことで,より研究の計画を拡張したと考えているが,実験データの詳細な分析には未だ時間が必要であった.次年度には本年度に取得したデータをさらに詳細に点検し,愛着と目利きの相互関係について,特に生理データである脳機能計測の結果も合わせて解釈し,学会発表ならびに論文として発表を行う予定である.

次年度の研究費の使用計画

平成24年度に取得したデータが膨大であったため、分析に時間がかかってしまったが,実験で得られた主観評価と生理データの関連について,多次元分散分析ならびに正準相関分析を応用してより詳細な関連性を見出す分析を行う必要があることがわかった.
そのため,繰越予算も含めて最新版の統計解析ソフトおよびビジュアライゼーションツールを導入し,分析を完了させる.
さらに,分析結果については,国際学会ならびに専門誌を通じて,内外に公開する.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 評価者の興味と展示空間の要素が商品の購買意欲評価に与える影響の検討2013

    • 著者名/発表者名
      横井聖宏, 中島瑞季, 山中敏正.
    • 雑誌名

      日本感性工学会論文誌

      巻: 12 ページ: 207-212

    • DOI

      10.5057/jjske.11.297

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The Relationship between Preference and Kansei Values2012

    • 著者名/発表者名
      SuKyoung Kim, Yongil Cho, Kazuhisa Niki, Toshimasa Yamanaka
    • 雑誌名

      Kansei Engineering International Journal

      巻: 11 ページ: 259-266

    • DOI

      10.5057/kei.11.259

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Image-Word Pairing-Congruity Effect on Affective Responses - A Study of Kansei in Japanese Advertising -2012

    • 著者名/発表者名
      Jorge C. SANABRIA Z., Youngil CHO, Ami SAMBAI, Toshimasa YAMANAKA
    • 雑誌名

      Kansei Engineering International Journal

      巻: 11 ページ: 91-100

    • DOI

      10.5057/kei.11.91

    • 査読あり
  • [学会発表] プロダクトデザインにおける「多機能」に関する印象評価2012

    • 著者名/発表者名
      Lihua Zhao、Hiroya Igarasi、Tosimasa Yamanaka
    • 学会等名
      日本感性工学会
    • 発表場所
      東京電機大学(東京都)
    • 年月日
      20120830-20120901
  • [学会発表] An Approach to Understand Preference Mechanism in Product Evaluation2012

    • 著者名/発表者名
      SuKyoung Kim, Yongil Cho, Kazuhisa Niki, Toshimasa Yamanaka
    • 学会等名
      日本デザイン学会論文集, CD ROME, pp. . 2012
    • 発表場所
      札幌市立大学(札幌市)
    • 年月日
      20120621-20120623

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi