研究課題/領域番号 |
23611005
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
平賀 瑠美 筑波技術大学, 産業技術学部, 教授 (70327021)
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研究分担者 |
大塚 和彦 筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (80331304)
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キーワード | 聴覚障害 / 演奏認識 / 演奏支援 |
研究概要 |
聴覚障害者が使用して楽しむことができる演奏支援ソフトウェア公開をめざし,2012年度はMIDI演奏を可視化するという基本に戻ったシステムを作成した.システムはMacOSX上のMax5とDIPSライブラリを使用した.MIDI機器ならばどのようなものでも接続できるが,聴覚障害者が従来から希望していた「演奏を知る」ということを表示の目的の一つとする場合は,キーボードを接続すると最も演奏が分かりやすくなる. このシステムは,演奏を楽しむ,ということを目的に,可視化の表現に重点を置いて楽しい画像の表示を行った.現在は2ポートであるが,前年度の研究を基に,複数の演奏入力に対応させ,複数の人が協調して画像を作成することができるものとした.「演奏を知る」という表示にするため,MIDIの演奏データに解釈を加えず,そのまま音の高さと大きさ,速さのみを表示に反映させるようにした. 試用により,表示はきれいで楽しいが,演奏と表示の時間差が大きいとの意見が多数であった.可視化の目的である「演奏を知る」ことと,「演奏を楽しむ」ことの両立のためには,ライブラリの使用を工夫する必要がある. また,演奏支援システムの構築のために,音色の理解についての実験を行った.音色の可視化についてはシステムを作り始めているが,MIDI機器では,簡単に様々な音色を作ることができるので,鍵盤を押すことによる演奏と合わせ可視化を試みる研究へ結びつけることについても着手した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
楽しむことができる演奏可視化システムを作成できたという点では計画通りである.さらに試用の回数を増やしてより多くのコメントをもらうことが望ましかったと考える. 一方,関連研究者との交流は昨年に続き順調に行うことができ,聴覚障害者の音楽聴取や演奏支援についての議論を深めることができた. 演奏支援自体についての論文発表はまだ行っていないが,聴覚障害の演奏認識として音色聴取に関する実験を行い,国際会議での発表を行った.
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今後の研究の推進方策 |
演奏可視化,音色可視化,演奏聴取について聴覚障害者を念頭においた研究を続ける.MIDI機器だけではなく,タブレット端末の利用もできるようにする.タブレット端末を入出力として用いることで持ち運びやすく,特別な機材を必要としない環境での演奏支援ができるようになる. 作成した演奏可視化システムの試用を行った後に,試用に基づきシステムを改良,使い方のビデオを作成,公開を目指す.また,音色を可視化するためのデータを集めるシステムを一般公開して広くデータ収集を行う.演奏聴取については,関連研究者との議論を続ける.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度より,14,997円が平成25年度使用額となった.概ね計画通りの研究費使用ができたが,試用が若干少なくなってしまったために生じた金額である. 平成25年度は14,997円を併せ,聴覚障害を持つ人たちにシステム試用を依頼するための謝金,試用から得たコメントをシステムに反映させるためのソフトウェア改良発注,MIDI機器の購入,タブレット端末の購入,国内外での研究発表に用いる.
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