研究課題/領域番号 |
23611007
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
桐谷 佳惠 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00292665)
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キーワード | コミュニケーション支援 / 情報ゲシュタルト / 可視化 / acting evaluation |
研究概要 |
昨年度明らかになった制作要件で,マニュアルは再制作された。本年度は,1)マニュアル評価法のさらなる検証,2)情報ゲシュタルトの表現法の検討,を行った。 1)については,昨年度提案したacting evaluationを統制群を用いた実験で検証した。その結果,この方法で評価実験を行うと,実験参加者は課題をよく理解し,集中して作業にあたっていたことがわかった。このように,このマニュアル評価法は,本研究において有効な評価法であることが示された。 2)に関しては,上記評価実験から,やはり利用者は児童の犬嫌い等への対応を気にしていることが示された。その後,実際にERCAZの出前授業を行ったことがある小学校教員数名にインタビューを行い,活動実施前の懸案事項を調べ,上記結果の方向性に間違いがないことを確認した。そこで,ERCAZが実際に犬嫌い児童等へ行っている対策をくり返し図的に表現し,それによって利用者のERCAZの活動の理解が深まるかを確認することにした。現在,2つのテイストの異なったマニュアルを作成し終え,今後,具体的な評価実験に入ることになる。 また,オノマトペによる動きの表現可能性も検討した。これは,マニュアルに対する親しみやすさやわかりやすさのために,オノマトペ表現を使用することを考えたためである。「ぴょん」や「びょん」など,言葉や音声に対する共通した動きの表現を実験的に探ったところ,多くの意見が一致した動きと,そうでない動きが明らかになった。当初は,共通認識を利用して,わかりやすさなどの表現に利用することを想定していた。しかし,実験結果から,言葉や音と,そこから連想される動きの不一致から生じる違和感を利用する方法もあることが考えられた。つまり,違和感を利用して,誘目性を高める手法である。今後,それらを具体的にどのようにマニュアルの図的表現の中に組み入れるか,検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究を実施するにあたって,対象事態の情報発信者であるERCAZメンバーの協力が欠かせない。しかし,その主要メンバーの妊娠出産が今年度はあり,研究全体の進行がやや遅れ,多少の方向転換が必要になった。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように,今年度に関しても,ERCAZメンバーとの協同活動は難しいと考えられる。そこで,これまで得られたフィードバックを主として利用し,発信者ではなく受信者にフォーカスした研究にシフトする。具体的には,マニュアルの内容的修正は最小限にし,表現の検討を重ねて,情報ゲシュタルトの切り出しの指針を得ることに集中する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は,昨年度までの成果の中間発表を国際学会で行う予定だが,日本開催の学会なので,旅費は研究費全体の10%を想定している。マニュアルは今後も改訂を重ねるので,その制作謝金に15%を予定している。マニュアル評価実験は,実際の小学校教員を実験参加者としたいため,外注することもふまえ,実験謝金を全体の60%として考えている。残りの15%を,消耗品等を買う物品費に充てたい。
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