研究課題/領域番号 |
23611008
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
寺内 文雄 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30261887)
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研究分担者 |
久保 光徳 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60214996)
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キーワード | 押しボタンスイッチ / 操作感 / クリック感 / 荷重 / 変位 / 時間 / 誤操作 |
研究概要 |
本研究課題は,押しボタンスイッチを操作する際の操作感に着目した研究である。操作感のなかでも,最も重要と考えられるクリック感に焦点を当て,操作の意味内容とクリック感との対応関係を明らかにすることを目的の一つとしている。本研究が従来の類似の研究と異なっている点は,静的試験ではなく動的な条件下でクリック感を定量化することを試みている点にある。そのため新たな装置によって検討する必要がある。 本年度は,フィーリングテスタの試作を行って,その動作状況を確認するとともに,改めて被験者評価を実施して測定結果の対応関係について検討を行った。今回制作したフィールングテスタは,昨年までと同様に荷重計を用いている点では同一である。しかしながら昨年度までの実験においては,被験者はスイッチボタンではなくボタンの上に置かれている荷重計を押すことによってその下にあるボタンを間接的に操作する方法によって,ホタン操作時の荷重と時間変化とをそれぞれ記録していた。これに対して,今回作成したフィーリングテスタでは,荷重計本体の向きを180度反転させるためのジグを作成することによって,被験者がボタン自体を押して操作できるように改良した。 被験者実験の結果,被験者間には最大荷重には大きなばらつきが確認できた。しかしながら,ボタンスイッチのクリック感に対する評価には大きなばらつきは見られなかった。またフィーリングテスタの操作感については,被験者から概ね妥当との評価を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フィーリングテスタの試作を行い,被験者実験によって,試作したフィーリングテスタの主観評価と特性の検討を行った。現在は,前年度までに得られた静的試験によるデータや従来の装置で行った試験のデータと,今回得られたデータを比較・検討している段階である。測定した荷重-時間曲線は,今回試作した装置の方がクリック感をより明確に示す傾向にある。これは被験者が押しボタンスイッチ自体に触れているためと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
開発したフィーリングテスタによって得られた主観評価と荷重-時間曲線から得られる各種パラメータの対応関係を明らかにする目的で,重回帰分析法をはじめとする各種多変量解析手法を用いて検討を行う。さらにこれらの関係を視覚的・直感的に把握できるように共分散分析法を用いて,構造方程式モデルを構築することを試みる。最終的には,得られた知見を生かして,操作の意味内容に対応したスイッチを制作し,これを開発したフィーリングテスタによって計測することで,開発した装置の妥当性を明らかにしていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
フィーリングテスタを使用して行った被験者実験によって得られた被験者の主観評価と荷重-時間曲線から得ることができる各種パラメータとを対応付けるための解析ソフトウェアの購入費用と,論文の投稿費用に充てる予定である。
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