研究概要 |
今年度は研究1~3を継続・発展させるとともに,研究成果の発表を行った.「研究1:好ましい第一印象の形成に関する研究」では左側が明るい顔・図形が右側が明るい顔・図形よりも好まれる傾向と大脳左右半球機能差との関連を検討した.視野分割呈示法を用いた実験の結果,左側から照明を当てた顔や図形を好む傾向と大脳左右半球機能差との関連性は弱く,むしろ視野の左側から右側に向かって情報を処理する傾向(Reuter-Lorenz et al. 1990)との関連性が強いことが明らかになった(小山ら2013, 第18回日本顔学会大会).「研究2:選択肢の多様化が消費者の満足度と愛着に与える影響」についてはアメリカ合衆国Gonzaga UniversityのNorasakkunkit准教授と共同で,観光地のおみやげを題材に,選択肢の多様性と贈る側・贈られる側の人間関係がおみやげ選択に与える影響について検討した.その結果,家族や職場の同僚と比べて親しい友人に対して自分と同じおみやげを選択することが多く,その傾向は選択肢の多様性が少ない場合に特に顕著であった(田中ら2013,第47回消費者行動研究コンファレンス).「研究3:特定ジャンルのモノに対するこだわりが好き嫌いの評価基準に与える影響」については植物工場産野菜の広告およびロゴに対する愛着が発達するプロセスについて心理学的に検討した(You et al. 2013; Zhang et al. 2014).その結果,広告やロゴの好感度が植物工場産野菜に関する詳しい情報よりも見た目のかわいらしさや安心感といった情動的要因により大きく依存していることが示唆された.
|