研究課題/領域番号 |
23611015
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
岡本 幾子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00135766)
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研究分担者 |
小林 政司 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 教授 (60225539)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 生活環境 / 色彩 / 安全性 / 機能性 / 快適性 / 誘目性 / 視認性 |
研究概要 |
生活環境の様々な状況認識については,視覚機能がおよそ90%の情報を処理しており,今日の生活環境色彩はコミュニケーションツールとして重要な役割を担っている.本研究では,人間生活および福祉の充実のために「人は色彩とどのように関わっているか」を念頭に置き,生活環境色彩を(1)意味伝達効果(安全性・機能性の評価),(2)快適性効果(色彩快適性の評価),(3)視線分析(誘目性・視認性の評価)などにより検討し,生活科学の視座からコミュニケーションツールとしてのカラーデザインの戦略的な導入・展開を目指す. 初年度は,衣環境領域のカラーデザイン解析(ファッションカラーの意味伝達効果,機能色(反射材)の誘目性・視認性)のための実験基盤整備を行った.まず,着装のシミュレーション用人台を作製した.人台の形状モデルは人体モデルのポーズ付けやコンピュータアニメーション制作に特化した3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)ソフトウェアPoser(e-frontier)および統合型3DCGソフトウェアShade(e-frontier)で作製し,データ変換プログラムDxf2StlでSTL形式のデータを得て,uPrintのドライバソフトであるCatalystEXに入力した.なお,本研究で使用する人台の形状モデルは,Poserに付属する男児(Ben)のデータを用い,同プログラムにより身体各部が7歳男児の寸法(HQL 1992-1994)になるように調整した.Poserインポート機能PoserFusionを利用してShadeに移行し,必要部位の選定とサイズの微調整を行った.つぎに,7歳男児用上衣(衿つき,前開き,ラグランスリーブの長袖,左右前身頃にパッチポケットの付いたスモック1/2サイズ)を作製した.その際,糸,編み糸,パイピング,織生地,プリント生地,メッシュ編地などの反射材の選定も合わせて行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は衣環境領域における実験研究のベースとなる人体モデル(着装のシミュレーション用人台)を完成させた.また,人体モデルを用いた着用実験に供する衣服のサイズ(7歳男児用上衣)を決定し,1/2サイズ試料を作製するとともに,デザイン展開に供する反射材の選定を行った.さらに,本研究では生活にかかわる複合領域を研究対象としていることから,パッケージデザイン(シャンプー)の有効性についても検討を開始しており,初年度の研究はおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
衣環境領域では,立体刺激(7歳男児人体モデルに着用させた上衣)に導入する反射材のデザイン展開の有効性について,引き続き,三次元形状入力装置を用いた計測により検討する.また,食環境領域では,嗜好食品(菓子)のパッケージデザイン,住環境領域ではピクトグラムのデザインなど,生活にかかわるコミュニケーションデザインの有効性について検討を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
実験基盤の構築を主とした計画のもとに初年度の研究を遂行したことから,初年度に計上した人件費・謝金ならびに旅費その他等の予算を次年度に繰り越しとした.次年度の研究費の主な用途として,パッケージデザインに関して照明の色の見え方の特性を数値化する演色性評価測定器(分光放射照度計,購入予定)を用いた検討を行うとともに,ピクトグラムのデータベース作製用PCならびに関連ソフトの購入などを予定している.
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