研究課題/領域番号 |
23611024
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
伊藤 精英 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (90325895)
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研究分担者 |
南部 美砂子 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (10404807)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | サイン音 / 知覚 / デザイン |
研究概要 |
平成23年度は,科学研究費補助金の全額交付が大きく遅延した.そのため,8月まで研究計画の実施を見送り,文献調査を行ってきた.1.文献調査:高齢者の聴覚知覚の特性,及び中高年者の聴覚的注意の特質に関する文献調査を実施した.また,これまでに普及しているサイン音の音響特性についても文献調査を実施した.ラウドネス感覚において1kHzから4kHz程度の感受性は相対的に維持されていることから,この周波数領域を基本周波数とすることが望ましいという調査結果を得た.2.トーンバースト,クリックピッチ,クリックに関する検討: 自然環境音に存在する短時間トーンバースト,否正数次倍音,クリックを含む音を録音し音響解析した.我々が選んだのは水流の落下,具体的には滝の音とした.FFTの結果,おおよそピンクノイズ的なパワーエンベロープであったが,傾きは急峻であった.予備実験として,滝の自然環境音聴取時の脈波インターバル(RRI),重心動揺,呼吸を測定し生体信号への自然環境音聴取の効果を検討した.その結果,滝の音を聴取している際に,副交感神経系の亢進,呼吸数の減少が見られた.本研究成果に関して2011年11月に開催された感性工学会生命ソフトウエア研究部会にて口答発表を行った.3.トーンバーストピッチ,クリックピッチの知覚に関する検討:16ms程度の持続時間のトーンバースト及びクリックの作成を試みた.トーンバースト複合音,クリック複合音の特性を変化させると聴覚印象,例えば音質,印象,ピッチ感覚が異なることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究着手が遅れたため,昨年度の研究計画は完全に達成できていない.昨年度の研究計画を圧縮して行うと共に,文献調査から得た示唆を基に今年度の研究を実施し,本研究が目的とする,中高年層の健常成人及び盲人にとって知覚的分離が容易なサイン音の開発を達成する.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の研究開始が補助金予算の関係で遅れたため,中高年齢者を対象とした聴覚印象実験,日常生活における聞き取りにくいサイン音の調査に着手できなかった.平成24年度には,次の研究を計画し,中間的な成果発表を予定している.1.日常生活における高齢者のサイン音聴取に関する調査:大学生及び高齢者を対象として、日常生活場面でのサイン音への注意の実際について調査を実施する.2.トーンバーストピッチ、クリックピッチの知覚に関する実験:成人を対象として、短時間の持続時間を持つトーンバースト複合音,及びクリックに対するピッチ知覚を明らかにする実験を行う.3.サイン音のデザイン:上記,1及び2を基に,サイン音のプロトタイプを作成する.作成にあたり,複合音のrise及びdecay時間,基音に対する高調波音のriseとdecayのずれ,及びバースト音の持続時間の逆数となるゆらぎなどを考慮する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度の補助金交付が遅延したことに伴い,研究実施が計画通りに行うことができなかった.故に,昨年度97万円の残額となった.昨年度,遂行できなかった研究計画を本年度に実施すると共に,当初の計画の研究をも実施する.80万円 サイン音作成及び聴覚印象評価実験実施用機材の購入,20万円 実験実施に当たり必要とする謝金等,20万円 日常生活場面での聴取に関するアンケート調査費,30万円 学会発表旅費
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