研究課題
視覚に障害のある成人,中高年者の注意を喚起しやすい情報音(サウンドアイコン),報知音をデザインするための基礎的知見を得るために,本研究は行う.本年度は,製品やパソコンなどで使用されている正弦波を題材として,そのごく短時間の聴覚刺激に対する中高年成人の聴覚印象を検討した.使用された聴覚刺激は,数十ミリ秒の極短時間の正弦波純音とその正数字倍音からなる複合音であった.具体的には,基本周波数4000Hzの純音及びその2次倍音の8000Hzを重畳させた複合音(4000Hzと8000Hz)を組み合わせた音とした.中年成人のうち,半数は健聴者,残りの半数は軽度の難聴(自己報告)であった.その被験者には,4000Hzの純音の後に複合音を聴取する場合と,複合音を聴取後純音を聴取する場合の2条件を課した.二つの条件において,標準刺激は共に4000Hzとした.被験者にはテスト音が標準刺激に比べて高く聞こえたか否かを報告させた.この結果では正弦波純音と複合音の聴取に統計的な有意な差が認められなかった.家電製品のサイン音やパソコンのサウンドアイコンなどで使用される正弦波のみに焦点を当てた実験では,聴覚的な注意の低下した成人に有効な音のデザインには限界があるように思われた.そこで,立ち上がりと立ち下がりの勾配が明確なクリック,トーンバーストを一つの要素として,その断続音系列を使用した聴取実験を来年度行う.
4: 遅れている
昨年度,サイン音聴取実験及び日常生活サイン音使用の調査が研究代表者の予定した計画通りに行うことができなかった.今年度は,研究代表者が申請当初の目的を達成するために実験計画を全面的に見直して最終年度の成果をあげるために努力する.
(1)サイン音の制作と改良クリック音を構成要素とするサイン音を作成する.クリックは立ち上がりと立ち下がりからなるバーストとする.バーストの構成要素である立ち下がりと立ち下がり及びバースト間の時間をパラメータとしてサイン音のプロトタイプを作成し,聴取実験を行う.加えて,プロトタイプのサイン音の音質評価をsound qualityスケールにより定量的に解析する.解析には新規購入するLabViewソフトウエアを使用する.行った実験結果は今年度開催される日本感性工学会及びヒューマンコミュニケーションシンポジウムで発表する.
LabView signal processingソフトウエア 30万円日本感性工学会発表旅費 10万円HCGシンポジウム発表旅費 20万円サイン音発生装置制作費 30万円実験被験者謝金 10万円
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