研究課題/領域番号 |
23611030
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研究機関 | 高崎経済大学 |
研究代表者 |
黒川 基裕 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (30363774)
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キーワード | 国際情報交換 / 産業デザイン / 商品企画 / 製品開発 / 開発経済 / 工業化 / タイ |
研究概要 |
H23、24年度においては、運用可能な能力評価指標、その評価指標を活用した評価が実施できる商品企画課題提出シートのプロトタイプを作製してきた。研究計画全体としては、産業デザイン人材に含まれるあらゆる職種について、レベル1-5に準じた評価ができる指標の開発、及び各職種・各レベル別の人材育成プログラムの設計を目指しているが、まずは現地でのトライアルを検討している商品企画分野でのレベル1-2に特化して、能力の構成要素として何を含めるべきなのかを重点的に検討していった。 そこで検討された評価指標については、計画に基づいたプリテストを実施することができた。具体的には、研究室において「BOP製品の商品企画」を課題として設定し、JDPのスキルスタンダードから商品企画に係るスキルユニットを抽出した上で、演習のカリキュラムを仮設計し試行した。また、学生の作製した5つの商品企画案を2012年10月30日から11月5日に開催された東京デザイナーズウィーク2012に出展し、評価指標を基に作成したアンケート調査票を能力評価シートのプロトタイプとして位置づけ、デザイン分野の専門家を含む一般来場者に学生の作品を評価してもらうことで、そのアンケート調査票を利用したプリテストを実施した。調査結果を解析したところ、アンケート調査に含まれる評価項目がどの程度妥当であるかを判断することができ、この結果を現地での商品企画コンテスト実施に活用する予定である。 当初の研究計画では、本年度中に現地での商品企画コンテストを現地で実施する予定であったが、準備プロセスが進捗せず実施は次年度に繰り越すことになった。しかし、上記の通りデザイナーズウィークを通して日本でのプリテストが実施できたため、タイ国でのコンテスト実施に必要となる評価指標の作製についてはおおよそ推進することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H24年度に実施予定であった商品企画コンテストについては、現地パートナーの選定を中心として準備プロセスが進捗せず、予定通り実施することができなかった。しかし、最終的にはタイ国内の実施機関として最適と考えられるSilpakorn大学での実施の見通しが立っている。本年度末にコンテストのみを実施することは可能であったが、Silpakorn大学の教員より強いコミットメントを得ることができ、スキルスタンダードに基づく講義の試行的実施を含めた体系的なプロジェクトを新学期の開始とともに推進することで合意しており、より大きな成果が期待されることを考えると、現地パートナーとの関係構築に時間を要したことには意義があると判断できる。 また、評価指標の向上に関しては、スキルスタンダードを作製した日本デザイン振興会からの専門的知見を受ける体制を構築できており、本年度実施した東京デザイナーズウィークでのプリテストの結果と合わせて、実務レベルで活用可能な成果に到達する方向で計画が推進されている。
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今後の研究の推進方策 |
H25年度においては、年度前半にSilpakorn大学での商品企画コンテストを予定通り実施できるように努力する。また後半には、その結果をもとにタイ国向けの産業デザイン人材育成プログラムを作製し、あわせて能力評価指標についても提示できるようにする。その成果をもとに工業省を中心にタイ国政府との交渉を進展させ、今後の拡張計画について検討を重ねるようにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度からは、約19万円の繰り越しが発生しているが、研究計画の2年目に実施予定だった現地での商品企画コンテストの実施が延期になったことによる。 今年度は、Silpakorn大学での商品企画コンテストの実施におけるスキルスタンダード運用、学生作品の評価などが決定されているため、その実施に研究費の一部を活用する。
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