研究課題/領域番号 |
23611031
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
笠原 信一 首都大学東京, システムデザイン学部, 教授 (00433178)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | コンピュータグラフィクス / ソフトウエア / デザイン |
研究概要 |
CGは今や建築デザインにおける欠かせないツールの一つになっている。CGによって設計段階の建物を可視化することにより、実際に建物を建てる前にリアルな臨場感で設計検討ができ、さらに設計期間の短縮やコスト削減にもつながっている。一方で、3次元CGの制作には高性能のコンピュータやソフトウエアの設備や専任技術者の配置などの投資が必要で、この投資の余力のある企業だけが恩恵に教授しているのが現状である。このような状況を打開し、デザイン分野における3次元CG活用の裾野を広げ、業界全体のデザインの質の向上や競争力の向上を図るために、デザイン検討をターゲットとし使いやすさに重点を置いた3次元CGソフトウエアの開発を進めている。 今年度は、特に計算時間高速化の研究やユーザーインターフェースの向上の研究を行い、現在保持しているプロトタイプソフトウエアの性能向上を図り、デザイナーの作業性向上のためのソフトウエアの使いやすさを追求した。近年はCPUの計算性能の向上があまり期待できなくなっている状況の中で、これまで画面表示を高速に処理する特殊な用途のためのものであったGPUが、汎用的な計算処理に利用できる道(GPGPU)が開けてきたので、このGPGPU化技術の可能性について研究した。この技術の高速化効果を検証するために、テスト用のレンダリングプログラムを新たに作成し、このテストプログラムのGPGPU化を実施した。その結果、現在の通常のCPUによるレンダリング処理に比べて、数十倍の劇的な高速化を達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画段階では予定していなかったGPGPU化技術をレンダリング高速処理に有力であると判断して新たな研究項目としたため、本来予定していた作業が計画より遅れている部分がある。特に、学生のアルバイト採用により進める予定であったドキュメント整備が、GPGPU研究によってまだシステムが固まっていない部分が多いために、GPGPU研究が一段落するまで作業をペンディングしている。 一方で、GPGPU技術の研究によって、高速レンダリング技術については、当初予想していた以上の成果が上がった。 以上のように、当初の予定から遅れている部分と、予定以上に進展している部分があり、全体としておおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
CGレンダリングにおけるGPGPU技術に大きな可能性があることが今年度の研究で実証できたので、当初の計画にはなかったが、このGPGPU技術の活用をレンダリング高速化研究開発の中心におく。 開発システムのマニュアルなどのドキュメント化については、GPGPU技術の活用研究が一段落し、システムが固まったうえで着手する。 ソフトウエア公開のためのウエブサイトについては、システムの研究開発と並行して作業を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
GPGPU技術の備わった新機種のコンピュータが近々に発売される。この最新のコンピュータを購入して計算処理の速度を評価する。 ソフトウエア公開のためのウエブサイトの制作およびドキュメント整備のために学生アルバイトを採用する。
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