最終年度は、初期の目的である企業ブランドの国際競争力の源泉について明らかにすることを目指し、米国、英国、中国、日本のユーザーを対象とする第2回目のアンケート調査を実施した。調査対象者は昨年度に実施した第1回目の調査と同様、米国(ニューヨーク)約100名、英国(ロンドン)約100名、中国(北京)約100名、日本(東京)約100名である。第2回目の調査は第1回目の回答結果から、着目できる点について詳細な調査を意図したものである。具体的には、第1回目の調査データの解析結果に基づき、企業ブランド評価に関するユーザー心理を測定するためデータを収集し、現在その結果を解析中である。 研究の進捗状況としては、第1回目の調査結果について現在学術論文として執筆中であり、間もなく投稿の予定である。最終年度の第2回目の調査も解析が終了次第、審査付学術論文に投稿予定である。 3年間の研究全体では、本テーマに関しては、既に掲載済みの予備論文1編を含む合計3編の学術論文としており、研究成果をあげつつある。こうした日本と諸外国とのユーザーレベルでのブランド意識に関する相違点を明らかにした。その特徴の1つは、従来から認識されていた日本の定型的企業ブランドではなく、新たに登場してきたブランドへの認知度が大変高いことが特徴となった。それは情報化社会への変容を顕著に裏付ける結果となったといえ、本研究の現代性が強く反映されたものである。 こうした一連の研究及び成果を通じて、日本の企業ブランドに対する認識も大きく変わらざるを得ないだろうことは容易に予測できる。今後どのように変われば良いのか、その可能性を示唆して学術論文のまとめとする予定である。
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