研究課題/領域番号 |
23611040
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
新垣 紀子 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (40407614)
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研究分担者 |
野島 久雄 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (30407613)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | デザイン / 認知科学 / ヒューマンインタフェース |
研究概要 |
本研究の目的は、様々なアーティファクトと人が共生できる環境のデザイン指針を構築することである。具体的には、新しいシステムが導入されるたびに社会に氾濫する貼紙のメッセージに着目して、その貼紙が貼付されている状況を分析し、そこでの貼紙の機能を分析することにより、得られた知見をシステムのデザインに活かすことを目的とする。本年度は、これまで収集した貼紙を以下の2つの観点からデータベース化を進めることにより、人とアーティファクトのインタラクションの問題点を整理し、さらに特徴的な貼紙については、貼紙の貼付者に貼紙の目的や効果についてインタビュー調査を行った。1点目は、空間変化の観点で、同じシステムであっても、それがおかれる環境によって、メッセージが必要な場面があったことから、メッセージは、アーティファクトをその場所にカスタマイズするための機能があることがわかった。2点目は、時系列変化の観点である。同じ場所でどのようなメッセージの変化があるかを時系列に分析すると、アーティファクトの進化により、特に人に認知的コストが必要になるような変化をしたことによりメッセージが必要になった場合や、メッセージ自体が進化した場合が観察された。後者は、貼紙を貼付した人が、貼紙がより効果的に働くように内容を変更しているものであった。このようなデータベースを構築し分析を進めることにより、多くの問題が発生する場所の特徴や、その対処方法が検討されるだろう。また、特徴的な貼紙に関しては、貼紙の貼り手に対して、インタビュー調査に加えて貼紙がどの程度ユーザに認知されているかについても合わせて調査を進めている。これらの研究から貼紙の効果について、認知的な考察を進めることができると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体的には、おおむね順調に進展しているが、研究分担者が亡くなった事情もあり、学会発表などに関しては、スケジュール通りには、進行しなかった。今後は、研究会等の場を利用して議論を深めることにより、研究を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初、平成23年度に学会発表を行う予定であったが、23年度に学会発表を行わなかったために未使用の研究費が生じてしまった。平成23年度に行う予定であった内容については、平成24年度に日本認知科学会や、ヒューマンインタフェース学会等の場で、発表を行う計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、ソーシャルカスタマイゼーション機能を解明するために、平成23年度に収集したデータを合わせた形でデータベース構築を進める。このデータベースの内容と、データベースを分析して得られる知見をまとめることにより、日本認知科学会や、ヒューマンインタフェース学会等で発表する予定である。そのために研究費を使用する予定である。
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