研究課題/領域番号 |
23611051
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
星加 民雄 崇城大学, 工学部, 准教授 (10331068)
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キーワード | イメージハンプ / 錯視効果 / 盛り上がり効果 / ストライプパターン / ケプラーの立方体 / ハンプ / 画角 / 見え |
研究概要 |
これまでストライプ型イメージハンプの盛り上がり効果について検証実験を行うことで、いくつかの問題点が明確になった。第一点として、走行中の車から道路上のパターンを見たときの画角から算出される実際の見えである。結論として、ドライバーの視点の高さに対し、既存に設置されている4mおよび6mのサイン曲線型ハンプの奥行き長では難しい。盛り上がり効果の演出には、必要最低限のストライプパターンの奥行き長が必要である。改善策として、ストライプ型イメージハンプの奥行き長を50m前後とし、ストライプパターンのラインそのものを3~5mm前後の溶融型ラインを適用することで、見かけの盛り上がり効果と衝撃を伴う速度抑制効果が期待できる新型ハンプが実現可能であるという結論が得られた。また移動速度に伴う見えの変化の違いが盛り上がり効果の演出を難しくしている。つまり、錯視効果そのものが凝視によって効果が高まる性質を持っていることも要因である。 上記の問題点に対し、新たな可能性としてストライプ型イメージハンプの構成要素として、斜めのラインが凹凸の演出効果に重要な役割を持っていることが明らかになった。さらに歩道用タイルに菱形パターンの製品開発をしている業者の協力を得ることができた。 今後の展開として、アート表現における錯視効果の継続研究も同時に進めていきながらアイディアを抽出していくとともに、菱形パターンの製品開発をしている業者の協力のもと、ライン状に斜めラインを共有するタイルとの組み合わせでケプラーの立方体を作成し、錯視効果による立体感の演出効果の検証実験を行っていく計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ストライプ型イメージハンプの盛り上がり効果について検証実験を行い、いくつかの問題点が明確になった。走行中の車から道路上のパターンを見たときの画角から算出される実際の見えの問題点として、ドライバーの視点の高さに対し、既存に設置されている4mおよび6mのサイン曲線型ハンプの奥行き長では難しいという検証結果に対し、盛り上がり効果の演出には、必要最低限のストライプパターンの奥行き長が必要であることが判明した。改善策として、ストライプパターンのラインそのものを厚さ3~5mm前後の溶融型ラインを適用することで、見かけの盛り上がり効果と衝撃を伴う速度抑制効果が期待できるという結論が得られた。ストライプ型イメージハンプの構成要素として、斜めのラインが凹凸の演出効果に重要な役割を持っていることが明らかになった。さらに歩道用タイルに菱形パターンの製品開発をしている業者の協力を得ることができ、新たな展開の可能性が開けて来た。これらの研究成果の学会での口頭発表や論文発表を着実に行っている。 これらのアイディア展開の元となる表現要素の研究プロセスとして、アート表現における錯視効果の継続研究も同時に進めており、作品の発表活動、ならびに論文等の研究成果の公開については、ホームページを通し情報公開している。 具体的には、掲載論文:3件(国際、国内の論文および招待講演論文を含む)、口頭発表:2件、作品発表:7件、ホームページでの成果報告、他
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今後の研究の推進方策 |
ストライプ型イメージハンプの盛り上がり効果についての研究プロセスにおいて、本年度は、まず縮小モデルによる走行実験をもとに学内での実験用道路での走行実験を予定している。実験道路では溶融型のラインテープによるイメージハンプの施工と走行実験、および菱形タイルの施工(業者に依頼)を加えた盛り上がり効果の走行実験を行う計画である。また斜めのラインを活用したアイディア展開も同様に行い、これらの研究成果は秋の芸術工学会で発表するとともに論文での発表も行う予定である。 本研究は速度抑制を目的とした錯視効果のハンプ、イメージハンプへの応用であり、広義的には交通システムへの活用を目的としており、北欧で採用され日常的に利用されているロータリー交差点とも密接に関連している研究内容でもある。日本ではあまり活用されていないが、北欧のロータリー交差点の特長としてハンプと併用されている横断歩道は交差点の入口に設置してあり、心理的効果も含め速度抑制効果が図られるシステムである。後半の研究として、さらに発展して行く方向として、震災によって都市機能を失った東北での実施に向けて提案していく予定であり、それに向けた調査も進めていきたいと考えている。資料の提供、情報の提供については現地の協力者がおり、今後の研究成果の可能性として明るい見通しである。 一方、アート表現における錯視効果の継続研究については、継続して行うとともに上記研究と関連する表現効果の公共空間での成果発表も実施する計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
走行実験用の材料および実験に伴う人件費、施工費等:400000円 調査研究としての旅費および研究協力者との打ち合わせ等に関わる旅費:400000円 作品制作を通しての出品、搬入経費、実験制作等に関わる経費:300000円 学会発表に関わる経費:80000円 その他の経費:約36000円
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