研究課題/領域番号 |
23611052
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研究機関 | 岩手県立大学宮古短期大学部 |
研究代表者 |
大志田 憲 岩手県立大学宮古短期大学部, その他部局等, 准教授 (30331276)
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キーワード | 拡張現実 |
研究概要 |
コンピュータグラフィックス(Computer Graphics,以下CG)は様々な領域で利用されており,現在ではその技術を拡張現実(Augmented Reality)にも適用し,現実の映像情報に組み込んだ付加情報として合成する研究事例も増えている.しかしながら,3DCG による 植物生長モデル等の仮想物体を現実の映像情報に重畳し,造園や環境,空間デザイン等の景観シミュレーションに応用するといった,自然物,現象をAR 環境と融合した研究例は少ない.本研究では,これまでに研究,報告を行ってきたCG における樹木の生長モデルを改良し,拡張現実の技術に適用させたシステムの開発を行うことを目的とする.また,その効果,問題点,課題を明確にする. 平成24年度は本システムを実現するにあたり,23年度までの拡張現実内環境での樹木のCG生長シミュレーションモデル開発の基礎検討をもとに,モデル自体の高速化や,仮想環境でのシミュレーションのための複数樹木の同時生長シミュレーションを実現するためのプログラム改良を中心に行った.また,文献の収集および学会等での情報収集等も行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は,平成23年度の研究をベースに既存の樹木CG生長シミュレーションモデルの改良を行った.AR等の仮想環境での表示を考慮するためには,これまでの既開発である樹木生長シミュレーションモデルでは計算量も多く実用的な景観シミュレーションとしては時間がかかるため処理の高速化が必要であったことと,複数の樹木を同時に生長させるという課題もあった.これらの課題を踏まえて,今年度は生長シミュレーションモデルの高速化と,同時に複数の生長シミュレーションを可能とするように,アルゴリズムの改良およびそのコンピュータプログラム化を行った. 以上の研究成果については,「受光環境の相互作用を考慮した樹木のCG生長モデルの拡張」として,岩手県立大学宮古短期大学部研究紀要第23巻第2号(2012年12発行)にて報告している.これまでの関連する研究事例の調査や,既存のシステムの問題点,課題を明確にし,それらを踏まえて既存のシミュレーションモデルを改良する事で,24年度に予定していた研究内容について概ね達成できた.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として,昨年度までに実施している樹木のCG生長シミュレーションモデルの改良を継続して行う.主に景観シミュレーション等を考慮した場合,紅葉などの経年変化表現も残された課題であることから,経年変化に関するアルゴリズム化およびコンピュータプログラム化を行う.また,これらの経年変化に関する研究事例は筆者のものも含め様々な報告例があることから,文献等の調査も継続して実施する. また,モバイル環境を考慮してノートパソコン等での動作を考慮したAR試作モデルを開発し,効果,問題点,課題を調査する.また,研究期間の最終年であることから全体のまとめを行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は,当初の研究計画に沿った研究費使用を行う予定である.シミュレーションモデル構築のために,参考文献の購入や論文の複写に使用する.また,学会や研究会等の情報収集も継続する. これまでの研究期間に研究したきた内容や,コンピュータプログラムやデータ等を保存するための保存媒体、またシミュレーション環境構築のためのソフトウェア購入等への研究費使用も計画している.
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