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2013 年度 実施状況報告書

色覚バリアフリー照明の設計に関するシミュレーションの研究

研究課題

研究課題/領域番号 23611054
研究機関独立行政法人産業技術総合研究所

研究代表者

田村 繁治  独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (70357490)

キーワード光スペクトル / 色覚バリアフリー / 色覚障害 / バリアフリー照明
研究概要

目標:人間は外部情報の8割を視覚で得ており、日本人の300万人が色覚障害者であることを鑑み、安全・安心な社会生活を営む上で必要な正しい色情報を認識することを可能とするための(健常者と同じ配色パターンを認識・共有)ツールとして色覚バリアフリー照明のスペクトルの開発を行う。
結果:3種類のLED照明下で、D型強度の被験者(アロマノスコープで検査済)の協力を得て、石原式色覚検査表(国際版38表)とパネルD-15テストを行った。被験者を必要としない予備実験で照明は(1)、(2)、(3)の順に石原式検査表の正答率が向上した。4名の被験者から得られた結果は、照明(1)、(2)、(3)の順に石原式検査表の正答率は 47.5%、60%、77.5%であり、予備実験と同じ傾向であり、予備実験のシミュレーション手法が正しいことがわかった。D-15テストではチャートの中心線を横断する回数(大幅な誤認識)が照明(1)、(2)、(3)の順に減少し、本研究で開発中の色覚バリアフリー照明は赤緑式盲(石原式検査表)のみならず、色相が連続して変化するチップの順序の認識(D-15テスト)にも有効であることがわかった。CIE L*a*b*色空間を利用して理論的に考察を行った。その結果。石原式検査表については、文字色と背景色の b* 値が照明光により分離できたことがわかった。D-15テストについては、照明光を照射した後の b* 値に加えて明度の情報 L* を基に色相の違いを障害者が認知していると推測される。石原式検査表については、CIE xy色度図上における混同色線上における見かけ上の色の変化についても検討し、理論と被験者実験の結果に矛盾が無いことがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度まではシミュレーションのみによる照明スペクトルの提案であったが、今年度、色覚障害者による被験者実験を行い、前年度までの仮説が正しいことが立証された。加えて、色覚バリアフリー照明はパネルD-15テストに対しても有効、との新たな知見が得られた。

今後の研究の推進方策

当初の計画通り、照明光のスペクトル設計・色覚バリアフリー照明の高度化を図り、公共空間を想定した照明空間の設計・検討を行う。被験者実験も行い、理論との比較を行う。

次年度の研究費の使用計画

当初、色覚障害者に正確に情報を伝える照明スペクトルの開発を目的とし、石原式検査式表(赤と緑の識別)を観察対象に選び、シミュレータで70%を超える正答率を得た。障害者による被験者実験でも80%近い正答率を得た。研究の過程で、開発した照明光は赤と緑の識別に加え、連続的に変化する色の識別(パネルD-15テスト)に対しても有効である可能性が判明したため、計画を変更し、被験者実験を含めた照明光の理論的検討を行うこととしたため、未使用額が生じた。
理論的な色覚バリアフリー照明を検証するためには被験者実験が不可欠であり、未使用額はその経費に充てることにしたい。障害の型、レベルをあらかじめ専門病院で診断済の被験者にお願いするため、遠方からの参加が多い。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Practical color barrier-free illumination for deuteranopia using LEDs2014

    • 著者名/発表者名
      S.Tamura, Y.Okamoto, S.Nakagawa, T.Sakamoto and Y.Shigeri
    • 雑誌名

      Color Research & Application

      巻: 未定 ページ: 未定

    • 査読あり
  • [学会発表] 実用的な色覚バリアフリー照明---(石原式国際版38表)---2013

    • 著者名/発表者名
      田村繁治
    • 学会等名
      第46回照明学会全国大会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      20130905-20130907

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公開日: 2015-05-28  

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