研究課題/領域番号 |
23612002
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小林 剛 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40402565)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | シグナル伝達 / 生物物理 / 1分子計測 |
研究概要 |
「機械刺激によるSFK活性化に、SH2やSH3ドメインを介した分子間相互作用の他に、N末端の脂質鎖によるSFKの接着斑近傍への集積制御が寄与している」という作業仮説の検証を目指す。そのために、(1) SFKの脂質鎖やSH3ドメインなどの蛍光プローブを作製し、生細胞中で1分子可視化し、機械刺激前後の接着斑におけるSFKの動態制御を解析する。(2) 機械刺激前後の接着斑におけるSFK活性化制御に携わるホスファターゼの動態を解析する。また、FRET法を用いSFKのプローブとの相互作用の解析にも取り組む。(3) さらに、(1)、(2)の情報に基づき、接着斑におけるSFK・ホスファターゼの動態や相互作用を修飾し、機械刺激によるSFK活性化に対する影響を解析する。今年度は、SFKであるSrcとFynの膜局在化部位であるN末端、SH2、SH3ドメインの蛍光プローブを作製した。現在、それらのプローブを培養細胞に接着斑マーカーと共発現し1分子レベルで同時観察しBelbbistatinやY-23642処理により接着斑にかかる張力を低下させ、その影響を解析している。また、蛍光1分子観察用の全反射顕微鏡に光ピンセットの装置を組み込み、細胞に力を負荷する実験系を確立した。また、ホスファターゼRPTPαのイメージング解析を目的にその蛍光プローブを作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初のH23年度実施計画どおりに研究は進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
基本的に、当初の研究計画を継続して進める。特に研究計画の(1) SFKの脂質鎖やSH3ドメインなどの蛍光プローブを用いた生細胞内の1分子可視化法による、機械刺激前後の接着斑におけるSFKの動態制御の解析、と、(2) 機械刺激前後の接着斑におけるSFK活性化制御に携わるホスファターゼの動態の解析、に注力する。SFKの中でSrc分子の他に、N末にミリスチン酸に加えてパルミチン酸も付加されているFynにも注目し、各種プローブも1分子観察し、その脂質鎖を介した動態制御をSrcと比較しながら解析する。また、機械刺激前後のSFKのプローブとホスファターゼとの間の相互作用をCFP-YFP等のタグを利用してFRET法により解析する。この場合、多分子レベルのイメージングを行う。また、細胞抽出液中の共沈物の解析等の生化学的な手法を用いて相補的に解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞培養培地・器具や分子生物・生化学用試薬に関しては、前年度と同様のペースで実験を行うと考えて同額を使用する予定。装置の作製・改良は、光学分品・工作材料代は減額予定。旅費に関しては、国内出張)を3回と海外出張を1回を予定している。また、研究成果発表費の支出も予定している。
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