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2012 年度 実施状況報告書

染色体分配を司る有糸分裂後期紡錘体の伸長メカニズム:紡錘体の発生力の定量的解析

研究課題

研究課題/領域番号 23612006
研究機関早稲田大学

研究代表者

板橋 岳志  早稲田大学, 理工学術院, 講師 (20434384)

キーワード紡錘体 / 細胞分裂
研究概要

紡錘体の伸長によって、染色体が娘細胞に正確に分配される有糸分裂後期の制御メカニズムは、多くの分子の分子生物学的同定や、細胞生物学的な観察に基づく分子機構の予測を中心に研究されてきた。本研究では、染色体分配機構における“紡錘体が発生する力”を、MEMS力センサー法などの生物物理学的手法を加味することによって定量化し、時間的・空間的に解析する。また、その力を発生するモータータンパク質類のそれぞれの寄与の程度を定量化する。これにより、有糸分裂後期から細胞質分裂にいたる“力”の役割を反映した染色体分配制御モデルを構築することを目的とする。
昨年度、有糸分裂後期のHeLa細胞(癌細胞)において、染色体分配を開始した後の紡錘体の伸長や分裂溝陥入による、細胞変形に伴って発生する力を定量的に計測することに成功した。本年度は、力発生と細胞分裂動態の関係をより詳細に解析した。そこで、アクチン線維、微小管、染色体、中心体と動原体のマーカータンパク質全てを、数種の蛍光タンパク質との融合タンパク質として恒常的に発現する、正常細胞由来の株を樹立した。この細胞株を用いることによって、HeLa細胞と正常細胞における細胞分裂動態の違い、計測された力の発生源の違いや、紡錘体伸長の度合いと発生力の関係等について、新たな知見が得られた。
また、昨年度確立した力計測方法に加え、力計測・顕微観察結果の精度向上を目的とし、効率的かつ高精度に力を計測するために、顕微鏡下で細胞内の紡錘体軸を規定するマイクロプリンティング技術を導入した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画していた実施目的の“計測された力を発生するモータータンパク質類のそれぞれの寄与の程度の定量化”について、力発生の候補因子を特定し、寄与の程度の定量化を進行しつつあり、研究内容を順調に達成している。

今後の研究の推進方策

外部負荷に対する紡錘体伸長と細胞質分裂の応答解析を、現在得られている結果を発展させながら、計画通りに推進する。

次年度の研究費の使用計画

本年度は、得られた研究成果の重要性を考慮して、海外での成果発表を控えたため、次年度への繰越研究費が生じた。次年度は、研究計画通りに研究費を使用する予定であり、加えて国内外での成果発表・発信を積極的に行う予定である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] 染色体分配装置の構造と機能の力学応答2013

    • 著者名/発表者名
      板橋岳志, 石渡信一
    • 雑誌名

      実験医学 増刊号

      巻: 31 ページ: 63-68

  • [雑誌論文] 外部機械刺激は染色体分配開始を制御できる2012

    • 著者名/発表者名
      板橋岳志, 石渡信一
    • 雑誌名

      生物物理

      巻: 52 ページ: 239-240

    • DOI

      10.2142/biophys.52.239

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mechanical impulses can control metaphase progression in a mammalian cell2012

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Itabashi, Yasuhiko Terada, Kenta Kuwana, Tetsuo Kan, Isao Shimoyama and Shin'ichi Ishiwata
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences USA

      巻: 109 ページ: 7320-7325

    • DOI

      10.1073/pnas.1116749109

    • 査読あり
  • [学会発表] Symmetrical shape of the meiotic spindle is dynamically balanced2013

    • 著者名/発表者名
      Kazuya Suzuki, Jun Takagi, Takeshi Itabashi, Shin’ichi Ishiwata
    • 学会等名
      Biophysical Society 57th Annual Meeting
    • 発表場所
      Philadelphia, USA
    • 年月日
      20130202-20130206
  • [学会発表] 中期紡錘体の形状制御メカニズムの解明2013

    • 著者名/発表者名
      高木潤, 板橋岳志, 鈴木和也, 島本勇太, Tarun M. Kapoor, 石渡信一
    • 学会等名
      2013年生体運動研究合同班会議
    • 発表場所
      広島
    • 年月日
      20130112-20130114
  • [学会発表] 紡錘体は一方の極から他方へ構造変化を伝搬することで対称形状を維持する2012

    • 著者名/発表者名
      鈴木和也, 高木潤, 板橋岳志, 石渡信一
    • 学会等名
      第50回 日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20120922-20120924
  • [学会発表] 染色体分配機構を司る力のメカノケミカル制御機構を探る2012

    • 著者名/発表者名
      板橋岳志
    • 学会等名
      細胞増殖制御終了シンポジウム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20120830-20120831
    • 招待講演
  • [学会発表] 紡錘体の力学応答2012

    • 著者名/発表者名
      板橋岳志
    • 学会等名
      第2回分子モーター討論会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2012-06-07
  • [学会発表] 顕微操作によってわかる紡錘体の力学特性

    • 著者名/発表者名
      板橋岳志, 石渡信一
    • 学会等名
      日本動物学会関東支部第65回大会
    • 発表場所
      東京
    • 招待講演
  • [備考] 理工・石渡研究室、外力で細胞分裂を制御できることを発見

    • URL

      http://www.waseda.jp/jp/news12/120417_cellcontrol.html

  • [備考] 外力で細胞分裂を制御できることを発見

    • URL

      http://www.yomiuri.co.jp/adv/wol/campus/newreport_1208_02.htm

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公開日: 2014-07-24  

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