蚊のような小型の昆虫は、500Hz以上の周波数で羽ばたいて飛ぶ。通常の収縮・弛緩の繰返しでは実現不可能な高周波の羽ばたきを可能にするのは、昆虫飛翔筋の高い自励振動能力であり、これには「伸長による活性化」というメカノセンシング機構が必須である。本研究では、大型放射光実験施設SPring-8の発生する高輝度X線とCMOS型超高速ビデオカメラを使用し、生きた昆虫の羽ばたき中の飛翔筋内の分子の動きを毎秒5000コマで記録することにより、「伸長による活性化」の分子機構に関する重要な手がかりを得ることができた。
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