日本の組換えDNA実験規制を歴史的に分析した結果,分子生物学者・応用微生物学者らと通商産業省が,1984年に国際会議「Conference on Life Sciences and Mankind[第2回~第7回:International Conference on Bioethics]」で組換えDNAのリスクが非常に低いと合意したことを契機に,生産設備の個別審査と組換えDNAのリスク評価をもとに物理的・生物学的封じ込め基準を撤廃していた.組換えDNAの倫理問題は,生命を操作する研究全般への国民の理解と支持を得る方策である「公共の討議としての生命倫理」を本格化させた可能性がある.
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