研究概要 |
パーソナルゲノム解析の生命倫理課題,有用性の評価法,精度管理,啓発・教育方法,情報提供のあり方等について,検討するために 、下記の取り組みを行った。 1.「臨床分子遺伝学的検査のバリデーション及び検証の標準化フレームワーク」の翻訳および検討: Eurogentestを中心とするヨーロッパの取り組みをわが国の制度設計を考える際,参考にすべきである. 2.ESHG2013,ASHG2013等を通じての情報収集:次世代シーケンス解析技術を用いて,網羅的にヒトゲノムを解析する技術が研究から診療へと急速に導入されていた。診療目的に行われるエクソーム解析において,結果を開示すべき遺伝性腫瘍(16疾患),循環器疾患(7疾患),悪性高熱症など24疾患,56遺伝子がACMGガイドラインとして公表されたが,集団を対象とした検査としての有用性は示されていないこと, 一般人を対象としたスクリーニング検査として行った場合には,無用な健診,医原性の害,間違った安心などの負の側面が生じる可能性があること,などの批判があり,現在,ガイドラインの内容の見直しが図られている.わが国では,分子遺伝学的検査が医療の枠組みの中でほとんどおこなわれていないという大きな問題がある. 3.研究代表者・分担者・協力者の連携と社会活動:研究代表者、分担者、および協力者は,つねにメール等により連携,意見交換を行い,わが国における問題点を整理し,課題解決のための実践活動を行っている.1)「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査」の実施施設の認定・登録活動,2)適切な遺伝学的検査の実施についてのマスメディアを通じての広報,3)初等中等教育における遺伝教育の充実を目的とした高校教員との意見交換,4)遺伝性乳がん卵巣癌の適切な遺伝学的検査のあり方についての意見交換,5)臨床遺伝専門医,認定遺伝カウンセラー等の遺伝医学の専門家の育成,等
|