米国ワシントン州(以下、ワ州)では州民直接請求により2008 年に尊厳死法が施行された。ワシントン大学生命倫理学のMcCormick博士を主要な研究協力者とし尊厳死に直面するワ州で医療者がどのような立場で尊厳死に直面しているのか面接調査を行った。ワ州での尊厳死を選択した人数は2008年以降、年間約5万人の死亡者中100名前後で、その約8割が尊厳死する。先行するオレゴン州とほぼ同率、オランダで実施される安楽死が全死亡中2-3%に比べ、きわめて低い水準である。これは米国の医師達が尊厳死を選択肢として明示するが、緩和医療等への誘導や社会的な援助を明示することにも積極的であることが要因と推測される。
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