研究課題
現在、透析患者数は約31万人で、その内の3万人が毎年死亡し、4万人が新たに患者となって導入されている。2014年3月末の腎移植希望登録者は約1万3千人で、死体腎や脳死からの提供が極端に少ない日本では平均待機年数14年となる。それ故、移植希望者は親族から腎提供に頼らざるをえない。この状況を打破する一方法として、腎ガン等で摘出された腎臓を修復して移植する修復腎移植があり、臨床研究では合計14症例に実施され、良好な結果を得ている。修復腎移植を、人工透析患者、生体腎ドナー、生体腎レシピエントはどのように考えるかについて、多くの病院の協力の下、大規模のアンケート調査を実施し、25年度はそれらの結果をまとめ、学会発表、論文発表を精力的に行った。生体腎移植レシピエントへのアンケート結果から、「もし移植した当時、修復腎移植が可能であったなら、生体腎移植、修復腎移植のどちらを選択したか」という設問に対し、152名中51名(33.6%)が「修復腎移植を選択した」という回答であった。特に移植後、健康状態が良好という人では、約半数がその選択を行った。これは、自分が健康になっても、腎臓を提供してくれた親族に対して健康体を傷つけさせたという加害者意識とドナーへの将来的な健康不安があると考えられる。ドナーは臓器を提供することにプレッシャーを感じたかという質問には、16%のドナーは夫婦間、子供や親から感じたということであった。透析患者では91%が移植登録をしておらず、「登録しても無理」「透析で十分」という意見であった。透析患者では高齢者の比率が高く、その人たちは特にそう考えていた。修復腎移植については、より若く、女性より男性の透析患者が医療として認める傾向が見られた。希望者には、しっかりしたICの下、第3の道として修復腎移植の選択肢を与えるべきという結論を得た。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
Proceedings of the 3rd ELPAT Congress
巻: (in press)
Journal of Life Science, USA
巻: 7 ページ: 1134-1142
International Journal of Social Science and humanity
巻: 4 ページ: 311-315
10.7763/IJSSH.2014.V4.370