研究課題/領域番号 |
23614004
|
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
羽生 冬佳 立教大学, 観光学部, 准教授 (40302971)
|
研究分担者 |
十代田 朗 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (70226710)
津々見 崇 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (40323828)
佐野 浩祥 立教大学, 観光学部, 助教 (50449310)
|
キーワード | 観光圏 / ブランド / 広域連携 / 情報発信 |
研究概要 |
本研究で対象とする「観光圏」は初年度から5年間が経過し、観光庁によって制度の抜本的な見直しと基本方針の改正が行われた。平成25年度からは新たな方針に基づく「新観光圏」の認定が進められている状況である。 こうした状況を受け、平成24年度は海外事例調査を中心に行った。夏季に湖水地方を中心とする北イングランドにおける観光地の情報提供状況と広域としてのブランドづくりについて、資料収集ならびに現地調査、ヒアリング等を実施した。湖水地方は英国最大の国立公園であるとともに、全体がカンブリア・カウンティに含まれている。当地のブランド構築については、国立公園管理局、イングリッシュヘリテージといった公的機関およびナショナル・トラストといった国家レベルの諸団体が資源の保護ならびに適性利用についての管理を行っており、当地の強力なイメージ付けにつながる風景や文化資源等の維持管理が徹底されていることが明らかになった。加えて各ディストリクトや民間事業者が緩やかに連携しながら、マーケット別に多様な魅力の提供を行っており、当地のブランドづくりに結びついていることが明らかになった。 この他、岩手県・宮城県の広域観光圏について、特に被災後の状況について現地調査ならびにヒアリングを行っている(旅費等は別予算による)。震災後の観光の復興状況については、被災状況よりも震災前の観光体制の熟度が大きく影響しており地域差が生じてきている。また、広域連携については特に県の役割が大きくなっており、今後の広域的なブランドがどのように再構築されていくかについて、引き続き調査を実施する必要があると考えられる。 一方、本年度中に行う予定であった観光圏の認知・イメージに関する全国調査について、調査項目等の検討を進めたが、年度内に実施には至っていない。平成25年度早々に実施の予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が平成24年度から勤務先を移動したことにより、本年度の調査に速やかに着手できなかったことが、研究の遅れにつながった最大の原因である。また、研究分担者もそれぞれ新規の課題に着手する中で、議論がなかなか進められなかった状況でもあった。 そのため、本年度は長期休暇中の海外調査を中心に、今後の進め方について分担者との意見交換を進めることを中心に行った。 次年度は今年度分の遅れも取り返すよう、年度初めに十分な研究計画をたてた上で分担者や研究協力者の協力のもと、遅滞のないように進める予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度に観光圏整備の方針が変更になったことを受け、改めて本研究の成果として何を得るのかを再検討する。その検討結果を踏まえて、これまでの取り組み内容を「失敗から学ぶ」という観点から再整理する。 加えて、平成25年度は最終年度にあたることから、以下について既実施調査の成果とともにまとめる予定である。①観光圏の認識・イメージに関するアンケート調査の実施、②アンケート結果より、ブランド力が強まった地域についての取り組み内容および担当者ヒアリングの実施、③新観光圏へと移行した地域における「ブランド構築」に対する取り組み内容に関する天地調査および担当者ヒアリング、④海外事例調査(ドイツ・黒い森地方を予定) 以上の調査結果より、本研究の目的である「広域的な地域におけるブランド構築」について体系化を図る。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度への繰越金が生じているが、これは本年度内に実施予定であった全国インターネットアンケート調査を実施しなかったことによる。繰越金については、平成25年度の研究費と合わせて以下の用途に使用する予定である。 ・国内の現地調査のための旅費 ・インターネットアンケート調査実施のための委託費、ならびに結果分析のための短期雇用費 ・海外事例調査のための旅費・調査補助者への謝金 ・その他、学会投稿費、資料購入 等
|