最終年度にあたり、研究成果を、社会還元を念頭に纏めることを主たる目的としてきた。例えば石垣島の宿泊施設での聞取りによると、観光客の増加に伴い急速に調整業務が増えてきていることは確認されてきたが、竹富、西表においても同様の状況が確認された。さらに、長期滞在者の増加にあたっては、必ずしも行政が調整機能を発揮してきたのではなく、その時点で、社会的に優位に位置する人物、組織が力を発揮した時に利害対立は収斂してゆくことが判った。これらの知見に関しては、沖縄県八重山農林水産振興センター主任石川正人氏からの、八重山地区農産物の資料提供、同じく竹富町役場農林水産課係長横目剛弥氏との面談、パイナップル作付面積及び、カボチャの作付状況に関するレクチャー等をもとに、竹富町史資料を読み込むことから作物の作付面積の変化と社会状況の不連続的変化の間に関係あることから仮説を導くことが出来た。沖縄県へ訪れる観光客が激増する時期と重なり、本研究のテーマが、急速に現実の社会問題として立ち上がってきた時期でもあった。本研究のテーマ関連でシンポジウムを計画していたところであるが、沖縄振興開発金融公庫八重山支店古堅宗俊支店長等関係各位とディスカッションの結果、学術的側面の強いシンポジウムではなく実務家の協議会の方が、研究成果の還元の場としては適当との示唆をえて、2015年度下半期に実行に向け関係各位と調整中である。なお、研究成果に関しては、琉球大学観光科学研究科発行の紀要において、査読つき論文他計二編を投稿中である。
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