研究課題/領域番号 |
23614012
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研究機関 | 高崎経済大学 |
研究代表者 |
飯島 明宏 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (70391828)
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研究分担者 |
後藤 和也 群馬県衛生環境研究所, その他部局等, 研究員 (30599866)
山口 直哉 群馬県衛生環境研究所, その他部局等, 研究員 (30600324)
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キーワード | 生物多様性教育 / 里地里山 / SATOYAMAイニシアティブ |
研究概要 |
エコツーリズムの核となる環境学習プログラムの教材開発を行った。前年度までの研究で河川環境を評価するためのツールとして水環境健全性指標の有用性が確認された。ツーリズムの対象地域(神流川流域)では、環境指標の中でも特に水生生物相に顕著な変化があり、里山の社会構造と明瞭な関係が見られたことから、水辺の生物多様性評価をメインテーマにした学習プログラムを開発した。 一般的な図鑑は野外調査に不向きであることから、本研究では環境学習プログラムの核となる教材として、カード型水生生物図鑑を制作した。野外調査での使用に耐えるよう、ポケットに入る大きさとし、ラミネート加工を施すことにより防水性を高めた。カード型図鑑は種ごとに独立し、各生物の分類学上の情報に加え、筆者らが撮影した写真を付した。また、カード背景を各水生生物の汚水生物系列(Os:貧腐水性/きれいな水に住む、βm:β中腐水性/少し汚い水に住む、αm:α中腐水性/汚い水に住む、Ps:強腐水性/とても汚い水に住む)別に4色に塗り分けることで、現場で簡易な水質判定ができるような機能を付加した。さらに、カード裏面には、各水生生物の生息環境に関する情報を掲載することで、探索的調査を可能とするゲーム要素を盛り込んだ。 このカード型水生生物図鑑を用いて、小学生児童を対象とした環境学習会を実践し、教育効果について検証した。学習会前後に参加児童に対してアンケート調査を実施したところ、河川生態系を構築する生物相のうち、特に昆虫類に対する認知度が格段に向上した。また、水辺の生物多様性への関心に関するスコアも向上した。現在、指導者向け副読本の作成および生物多様性の見える化に関する簡易計算ツールの開発を行っており、これをエコツーリズムのファシリテーターとなる地元の環境NPOに移管していく計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目の研究の中心は、エコツーリズムの核となる環境学習プログラムの教材開発であった。ツーリズムの対象地域である神流川流域の地域構造、および河川生態系に関するデータセットは予定通り収集され、教材化された。また、開発した教材を用いた環境学習会のトライアルを行い、狙いとする教育効果が得られることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
3年目の研究の中心は、エコツーリズムのファシリテーターの養成である。指導者向け副読本を作成し、生物多様性の見える化に関するワークショップを通じて、開発した環境教育プログラム全体をエコツーリズムのファシリテーターとなる地元の環境NPOに移管していく計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費は、主に教材の作成および環境学習会等に必要な資器材を調達するために計上した。 旅費は、神流川流域でのフィールドワークおよび国内・海外での学会発表を行うために計上した。 謝金は、フィールドワークおよびデータ分析に係る研究協力を得るために計上した。 その他の経費としては、学会参加登録やホームページ制作委託に必要な経費を計上した。
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