研究課題/領域番号 |
23614014
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
川原 晋 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (10367047)
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研究分担者 |
岡村 祐 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (60535433)
松浦 健治郎 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20335144)
永瀬 節治 和歌山大学, 観光学部, 講師 (10593452)
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キーワード | 祭り / 山車 / 公共空間 / 景観 / 観光 / 観光行動 / モニターツアー / 都市形態学 |
研究概要 |
日本の巡行型祝祭を俯瞰したH24年度に引続き、H25年度は集客力の高い曳山まつりや水辺型祝祭を精査した。 京都市の祇園祭と滋賀県の長浜曳山祭の調査からは、街路や交差点の規模や形に応じて祝祭空間の生まれ方が変化すること、交差点付近に曳山が置かれることで3方向から鑑賞が可能な劇場的空間が出現し、曳山の後方は楽屋的空間となり、周辺の駐車場や公園は交差点を通らない抜け道として確保されること等、観光客を受け止める多様な工夫を明らかにした。 また今年度は、都市祝祭空間分析を具体的な整備・保全へつなぐ方法開発に注力した。景観行政の先進自治体である神奈川県真鶴町の貴船祭りを対象として、観光者の撮影した祭りの見せ場の写真を収集・解析することで、祭り時に活きる視点場整備のあり方や、見せ場の背景となる景観コントロール重点地区の抽出方法を開発した。行政が実践可能な汎用性の高い方法である。 また、本計画論の東日本大震災被災地への応用をめざして、岩手県大槌町の吉里吉里祭りを経年調査中である。2012年度と2013年度調査から震災前のルートへの段階的回復や、海との関係性の再構築が見られた。 これらの成果は、H25年冬に開催した首都大学東京Open Univ.講座(社会人向講座)での4回の講義を通して社会への還元を行った。 モニターツーリズム研究は、モニターツアー23事例(調査対象115団体から選定)の全体像把握調査を通して、ツアー主催者側のツアー造成目的からは「評価・検証・PR」といった目的が複合した観光調査であること、主催者側の成果に対する評価としては、「ツアーの商品化」と「地域資源の発掘・評価」に効果が認められる一方で、PR効果は限定的であることがわかった。また関係者との密な連携体制とフィードバックの仕組みが準備段階で構築できるかが、ツアー参加者の意見を有効活用するために重要であることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
豊富な事例調査を通して着実に研究実績を積み、論文や専門誌での論説、講座の開催などを通して社会へ還元してきたため。
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今後の研究の推進方策 |
個々の成果が充実したので、これらを観光視点からの歴史まちづくりの解析・評価・計画技術としてまとめる予定である。研究期間前半の成果をH24年度に「季刊まちづくり 特集 都市と祝祭空間(50ページ)」でとりまとめたものの延長に、計画技術としての取りまとめを加える。具体的には、歴史的資源としての祝祭、および祝祭空間、活動を観光対象としてのモニターツアーの活用の仕方、イベントを持続的なまちづくりにつなげる仕掛けなどを、引き続きの勉強会やもう少し広い参加者を得ての議論を通して取りまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
3年目で進んだモニターツーリズム研究や年祝祭空間研究の統合化と方法論化の作業を進めたこと、また、3年目の成果を海外の学会で発表したいため。 ポルトガルで開催される国際会議、The 21st International Seminar on Urban Form - ISUF2014 での旅費と英文校閲費、および、共同研究者との会合旅費に使用する。
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