研究課題/領域番号 |
23614016
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研究機関 | 奈良県立大学 |
研究代表者 |
安村 克己 奈良県立大学, 地域創造学部, 教授 (00230243)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 観光まちづくり / 持続可能な観光 / 生活世界 / 生活空間再生論 |
研究概要 |
観光学と生活空間再生論の視座に基づく「観光まちづくりの理論と実践」の考察を「研究目的」とし、当該年度の「研究実施計画」に則り、次のような「内容」で「理論研究」と「事例研究」を実施した。 1)理論研究では、「生活空間再生論」構想の「実践論」について、三重県松阪市柚原町の事例研究で捉えられた観光まちづくりの「実践」の実態を踏まえ、原稿「生活空間再生論の「実践」論に関する覚書」(平成24年度発行の『地域創造学研究』XIII(奈良県立大学)に掲載予定)を執筆した。 2)また「生活空間再生論」構想の理論研究として、研究対象をフッサール現象学の「生活世界」論を考察し、原稿「生活空間再生論にの構想における「生活世界」の概念」を執筆中である(平成24年度『地域創造学研究』XIV(奈良県立大学)に投稿予定)。 3)"Sustainable Toursim-based Community Development"関連の文献を収集し、文献研究を進め、原稿作成の準備を整えた。 4)事例研究の実地調査では、柚原町を中心に宇気郷地区の観光まちづくりと地域の実情について、聞き取り調査やイベントなどの参与観察を、10回(延べ日数21日)にわたり実施し、関連基礎データ・情報を収集・整理できた。 以上の理論研究と事例研究により、「持続可能な社会の構想」研究と「観光の持続可能性」研究から、翻って「生活空間再生論」構想の新たな理論的視座の構築が進められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目標は、観光学と生活空間再生論の視座に基づき、「観光まちづくりの理論と実践」について「理論研究」と「事例研究」を行うことであり、両方の研究が平成23年度の計画通りにほぼ実施された。 理論研究については、観光まちづくりや観光の持続可能性、生活空間再生論の基礎論の文献研究が予定通りに進められ、原稿作成の準備が整えられてきた。 また事例研究については、三重県松阪市柚原町の地域全般および観光まちづくりの実践に関する聞き取り調査、参与観察などが集中的に行われ、次年度のより詳細な実地調査に向けた基礎情報が収集された。 それらの理論研究や事例研究の途中の成果については、学内外の研究会で、漸次的に報告・議論されている。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に引き続き、次年度についても研究計画に沿い、理論研究と事例研究を実施する予定である。 「理論研究」では、「生活空間再生論の基礎論」に関する文献研究を進め、その成果と関連づけながら、「持続可能な観光」と「観光まちづくり」に関する理論的考察を行ってゆく。それらの成果については、それぞれに研究会や学会などで研究報告をしながら、論文にまとめてゆきたい。 「事例研究」では、これまでに行った三重県松阪市柚原町の基礎調査を踏まえ、住民組織とまちづくりの実践にかかわる、さらに詳細な実地調査を行う。 なお、平成23年度には、宿泊して時間をかけた実地調査があまりできなかったため、127千円の研究費が未使用となった。これまでの柚原町の実地調査からきわめて有益な調査結果が得られたので、次年度には中長期の宿泊を伴う実地調査に未使用分の研究費を用いたい。 また柚原町の事例研究がこれまで集中的になされたが、もう一つの事例研究の対象である、奈良県奈良市柳生の里の実地調査についても、さらに詳細な実地調査を継続してゆく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費1,027千円の使用については、次のように計画している。 1)平成23年度の事例研究が順調に進み、有益な結果が得られてきたので、次年度においても実地調査に時間をかけ、さらに事例研究の成果を高めるため、実地調査に旅費800千円、調査補助などの人件費・謝金70千円、関連の物品費100千円、その他7千円を当てたい。 2)理論研究では、持続可能性やトランジション・ムーブメントなどの研究を考察するため、"Sustainable Toursim-based Community Development"関連の外国語文献の収集などに50千円をあて、考察を続けてゆく。 以上の計画で、研究費を適正かつ効果的に使用したい。
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