研究課題/領域番号 |
23614017
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研究機関 | 奈良県立大学 |
研究代表者 |
千住 一 奈良県立大学, 地域創造学部, 講師 (50409546)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 観光政策史 / 観光学 |
研究概要 |
平成23年度に実施した研究の具体的内容としては、研究全体に関わる既存研究ならびに史料の収集およびその活用が挙げられる。既存研究の収集については、研究計画通り、研究課題に関わるものをほぼ網羅的に収集し、整理することができた。また、これら既存研究の動向を、これまで申請者が取り組んできた「日本と植民地観光」の視点から整理することにより、「日本統治下台湾・朝鮮・満洲における観光に関する研究動向」を執筆、公表した。 史料の収集に関しては、国立国会図書館、国立公文書館、東京商工会議所経済史料センター、外務省外交史料館において関連する史料の探索および複写を、研究計画通りに行うことができた。こうして収集された史料を読み込むことにより、1916年に開催された「経済調査会」および1919年に実施された「第41議会」の概要ならびに、そこでの「観光/外客誘致」をめぐる議論のありようを、研究計画通り把握することができた。 これらの研究成果の持つ意義および重要性としては、第一に、今後2年間の研究計画を実施するための基礎固めを行うことができたという点にある。つまり、当初の研究計画通りに、研究全体に関わる既存研究ならびに史料を収集することができたため、今後の研究活動の土台に相当する部分が完成したと言える。第二が、平成23年度における研究計画および研究目的として設定した、1916年開催の「経済調査会」および1919年実施の「第41議会」にまつわる知見が明らかにされたことである。今後2年間にわたって行うことを計画している研究は、これら「経済調査会」および「第41議会」に関わる知見を踏まえた上で実施されるべきものであり、この作業が研究計画全体において有する重要性は高いと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成23年度における研究計画として、「研究全体に関わる既存研究ならびに史料の収集」および「「経済調査会」および「第41議会決議」に関する知見の整理・検討」のふたつを明記した。先の「研究実績の概要」のなかでも詳しく述べたように、これらふたつの項目については、研究計画で想定していた研究成果を十分に達成することができたと考えており、平成23年度に設定した研究目的は、これらによって計画通り達成されたと言える。 特に、研究全体に関わる既存研究に関しては、当該研究群を収集、整理することができただけではなく、各既存研究で示されている知見を、申請者が従来取り組んできた「日本と植民地観光」の視点から体系的に整理した、「日本統治下台湾・朝鮮・満洲における観光に関する研究動向」として執筆、公表することができた。この研究動向の執筆は当初の研究計画においては想定していなかった事項であり、充実した研究成果によって達成された計画以上の成果公表であったと言える。 また、先の「研究実績の概要」のなかでも詳しく述べたように、今後2年間の研究計画を遂行しつつ研究目的を達成していく上で、平成23年度に実施、達成することができた研究およびその成果は、極めて意義深く高い重要性を有していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で、当初の計画通りに研究を実施、推進することができている。よって、今後2年間の研究は、研究計画に明記された事項について取り組んでいくこととなる。つまり、平成24年度に関しては、「「第41議会決議」と「経済審議会」のあいだに関する知見の整理・検討」を主に行いながら、補足的に「研究全体に関わる既存研究ならびに史料の収集」を行うこととなる。 また、平成25年度に関しては、「「経済審議会」および「国際貸借改善審議会」に関する知見の整理・検討」を主に行いながら、補足的に「研究全体に関わる既存研究ならびに史料の収集」を行うとともに、「研究全体に関わる知見の最終的な点検・検証」および「研究成果の積極的な公表」に取り組んでいく予定である。 なお、「次年度使用額」に該当する研究費が発生した理由としては、平成23年度に購入する計画であった古書を購入することができなかった点が挙げられる。当該研究費については、平成24年度における研究計画を実施する際に使用することを計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
先の「今後の研究の推進方策」において記したとおり、平成24年度における研究は、当初の計画通りに実施する予定である。計画では、「「第41議会決議」と「経済審議会」のあいだに関する知見の整理・検討」を主に行いながら、補足的に「研究全体に関わる既存研究ならびに史料の収集」を行うこととなっており、研究費はそのために使用される。 使用計画としては、前者の知見の整理・検討に関しては通年度的に実施することを計画している。後者の既存研究についても通年度的に実施することを計画しているが、史料の収集については、通年度的に実施可能なものと不可能なものが混在していると考えられるため、通年度的に実施不可能なものに関しては、夏期や春期の長期休暇を有効的に活用して研究計画を遂行する。 なお、先の「今後の研究の推進方策」において記したとおり、「次年度使用額」に該当する研究費は、平成24年度における研究計画を実施する際に使用することを計画している。
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