研究課題/領域番号 |
23614017
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研究機関 | 奈良県立大学 |
研究代表者 |
千住 一 奈良県立大学, 地域創造学部, 講師 (50409546)
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キーワード | 観光政策史 / 観光学 / 国際観光 / 「内地-外地」間観光 |
研究概要 |
平成24年度に実施した研究の具体的内容としては、第一に、「第41議会決議」と「経済審議会」のあいだに関する知見の整理および検討であり、第二に、研究全体に関わる既存研究ならびに史料の収集である。これらは、ともに当初より計画されていたスケジュールに則って行われた研究活動であり、前年平成23年度において実施した、既存研究ならびに関連史料の網羅的な収集、および、「経済調査会」および「第41議会決議」に関する知見の整理・検討の上に成り立つものであると同時に、本研究課題の重要な一部分を担う研究である。 研究成果の第一であるが、これまで、既存研究のなかではほとんど触れられることのなかった「第41議会決議」と「経済審議会」のあいだの期間を考察対象として、本研究課題の目的である(特に国際)観光政策に関する公的議論の動向整理およびその内容検討を行った。研究成果の第二に関しては、前年平成23年度における収集作業からは漏れていた既存研究および史料を入手することができた。特に研究成果の第一に関しては、これまでの研究においては言及されることのなかった史料を発掘・活用することができたため、既存研究の空白部分を埋めるという意味において重要な意義を有していると言える。また、当該期間における国際観光政策をめぐる公的議論という文脈においては、当時日本の植民地であったいわゆる「外地」とのあいだの観光についても積極的な議論が交わされていることが判明した。 したがって、平成24年度の研究活動を実施するにあたり、当時の日本と「外地」のあいだにおいて発生した観光の一側面を明らかにすることを目的とした、一件の研究報告と一件の審査付き論文を執筆したが、これらはともに、研究代表者がこれまで取り組んできた研究活動と関連づけられた発展的な成果でもある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題は3年度間にわたるものであり、前年平成23年度は、当初の研究計画どおりに研究活動を行った上に、これまで研究代表者が行ってきた研究活動とのあいだに接点を見いだし、発展的なかたちで研究成果を公表するという、当初計画以上の成果をあげることができた。 同様に、平成24年度においても、上述したとおり、当初の研究計画どおりに研究活動を行った。それだけではなく、当時の国際観光政策における議論のなかでも一定の位置を占めていた、当時の日本と「外地」のあいだで成立した観光という、本研究課題に取り組んでいくなかで浮上してきた新たな重要課題を見いだすことができた。さらに、当該課題と関連した研究成果を、これまでの研究代表者による研究実績と関連づけるかたちで、公表することができた。 よって、本研究課題に関しては、当初の計画以上に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
前年平成23年度、今年平成24年度ともに、既述のとおり当初の研究計画どおりに研究活動を実施することができており、またそれ以上の発展的な研究成果を公表することができている。 したがって、研究計画の最終年度に相当する平成25年度においても、当初の研究計画どおりに研究活動を進めるという方策を採用したいと考えている。 なお、平成24年度において生じた「次年度使用額」は、当初、史料複写を想定していた案件に対して使用する計画であったが、既述のとおり、前年平成23年度の段階で、研究活動に必要な史料を網羅的に収集、複写することができている。そのために、平成24年度において「次年度使用額」が生じた。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度において生じた「次年度使用額」は、22,193円であり、全体の研究計画に影響を与える可能性は極めて小さいと言える。 したがって、平成25年度においては、当初の研究計画どおり、「経済審議会」および「国際貸借改善審議会」に関する知見の整理および検討、研究全体に関わる既存研究ならびに史料の補足的収集、研究全体に関わる知見の最終的な点検および検証、研究成果の積極的な公表を行い、そのために研究費を使用していきたいと考えている。
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