本研究の、観光地TALCのFad現象と観光地振興について第61回日本都市学会全国大会で発表した。またこの機会に、全体を記録した報告書を配布した。 【直島】では、第1段階(1992年~)で島内の施設整備とホストである島民に現代芸術への関心と認識を浸透させた。第2段階(1998年~)では、本村地区の家プロジェクトの開始、2004 年の地中美術館の開館により観光客の広域化が進んだ。また文化度の高いホテルの増設により滞在型観光客の増加をもたらした。この頃からTALCの発展期である。また近年では、Fad現象の2010 年、2013 年の国際芸術祭開催は、観光客入込数の増化傾向をもたらしている。第1 回国際芸術祭では、前年比177.0%、第2 回には前年比164.64%、である。イベント効果は、現代美術館と本村地区の家プロジェクトを一体化した観光資源としてホストとゲストに認識される契機となり、継続性と革新性を持つ地域づくりの手法として、画期的なものとして注目される。 【境港市】では、水木しげるの出生地を活かした、妖怪まちづくりは、1992年当時では画期的なものであった。2012年のデータによる境港主要観光箇所は、観光客入込数と相関関係を示しているのは水木しげるロードである。また、2010年の上半期のNHKの連続ドラマ「ゲゲゲの女房」による観光効果は、観光客入込数のFadをもたらした。その後減少に転じたが放映前の観光客入込数より増加している。その要因は、アクセスの障壁が、Fadを緩やかなものにしているによる。イベントによるFad現象は、次の点が特徴である。 ①地域社会や広域社会のアイデンティティの成長や維持を助ける契機となる。②観光資源を統合する機会となる。③効果が薄かった観光資源を有効活用させる契機となる。 と核になる部分について報告した。
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