研究課題/領域番号 |
23614020
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
金井 雅之 専修大学, 人間科学部, 教授 (60333944)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 観光まちづくり / 温泉地 / 社会関係資本 / 社会学 / 質問紙調査 |
研究概要 |
本研究の目的は,温泉観光地を例として,観光まちづくりの時間的発展過程における利害関係者間の競争と協働のバランスを,社会学的観点から分析することである.競争(切磋琢磨)と協働(一致団結)はどちらも必要であるが,発展過程に応じてどのように両者のバランスをとっていくかは実践上むずかしい課題である.そこで本研究では3年間の研究期間を通じて,先行する調査研究を発展させた全国規模の質問紙調査により,単なる事例研究を超えた実証的な命題を導出し,一般的な実践的指針の提供することを目指している. 初年度にあたる平成23年度は,先行する調査研究,すなわち平成19年に特定地域の温泉地の旅館と旅館組合を対象におこなった質問紙調査,および平成21年にある温泉地の観光業者と地域の一般住民を対象におこなった質問紙調査の詳細な再分析をおこなった.その結果,観光まちづくりの時間的発展過程にはそれぞれの温泉地におけるマクロおよびマイクロな社会関係資本のあり方が複雑な交互作用を及ぼすこと,また一般住民を含めた関係者の間で多元的な価値や利害が存在すること,したがって,本調査の企画と分析にあたっては対象地をある程度類型化することが必要になることが確認された.さらに,東日本大震災や原発事故にともなう宿泊客の急激な落ち込みとその後の回復の動向について,特に地域的な差に注目しながら,各種の業界紙誌や統計データを参照して注意深く見守った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では,23年度には対象となる100箇所の温泉地の全般的状況を把握するために,旅館組合を対象とする予備調査を先行しておこなう予定だった.しかしながら,東日本大震災および原発事故にともなう宿泊客の急激な変動,特に外国人観光客の動向の変化が想像以上に大きかったので,24年度に実施する各旅館への本調査と実施時期をずらすことは適切ではないと判断し,旅館組合調査の実施を24年度に延期したため.
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今後の研究の推進方策 |
宿泊客の動向を注意深く見守りながら,研究目的を効果的に達成する上で適切な調査実施時期を探り,旅館組合調査および旅館調査を実施する.
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次年度の研究費の使用計画 |
計画段階で23年度に予定していた調査等は上述の事情で単純に延期しているだけなので,24年度に予定されていた調査等とあわせて研究費を執行する.
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