| 研究課題/領域番号 |
23614021
|
|---|
| 研究機関 | 琉球大学 |
|---|
研究代表者 |
金城 盛彦 琉球大学, 観光産業科学部, 教授 (30317763)
|
|---|
| キーワード | 沖縄 / 宿泊業 / 従業員満足 / 一元配置分散分析 / ミス・マッチ |
|---|
| 研究概要 |
本研究の調査は，2部に分かれており，第1部はホテル従業員のES(従業員満足)の調査，第2部は，同じホテル従業員の過去の職歴を踏まえた「（現職での）就業をめぐるミス・マッチ調査・分析」です。
しかし，1回目の予備調査の結果，同調査では同様の調査目的の実現は難いことが判明しました。同調査で参考にした先行研究の場合は，データとして賃金や職歴を大規模に収集・整備されたパネル（プールド）データを用いています。しかし，本研究の対象地域である沖縄県には同様のデータは存在しません。そこで，本研究では被験者自身に職歴や当時の就業形態を遡って答えてもらう手法を採りましたが，十分・確実なデータは収集できませんでした。
当初，データの不備の修正により，ある程度所期の目標の達成が可能かを試みました。また，分析のベースになっている理論の修正によるデータの不備の補完の可能性も試みました。 しかし，結果的に就業をめぐるミス・マッチ調査・分析に関しては，いずれの対策でも十分・確実なデータの収集は如何ともし難いことが判明しました。したがって，今後の調査では第2部は継続せず，第1部の完遂に資源を傾注することにしました。
第1部に関する予備調査からは「従業員の離職意向」と「（継続）就業意向」のそれぞれと各質問の間の一元配置の分散分析行い，前年度実施したクロス表とそれに対するカイ2乗検定の結果と同様の傾向が見られるか検証しました。
考察結果からは，やはり離職および就業いずれの場合でも，本人よりも家族の意向が優先されることや，基本給よりも賞与等の給付・改善が離職を抑え，従業員の就業意識を向上させること等ユニークな結果が検証されました。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成25年度は，予備調査（2回目）と本調査を行う予定でした。しかし，大学の移籍に伴い，新規科目の担当科目の準備をはじめとする新たな環境への適応コストは予想以上に大きいものでした。そこで，残された時間を調査の大目的（2部構造の第2部に該当）のひとつ「就業をめぐるミスマッチ」の調査・分析で発覚した問題の解消に傾注しました。
当初，問題であった調査データの不備の修正や，分析のベースである理論の修正による不備なままでのデータの活用の可能性も試みました。何とか所期の目的を達するべく，これらの修正に時間を費やしたため，2回目の予備調査以降の手順に進むことが適わず，研究の達成度が遅れる結果となってしまいました。
|
| 今後の研究の推進方策 |
遅延の原因の1つとなった，大学の移籍に伴う問題はすでに1年を経て，新規科目の準備も含め，かなり落ち着いて来ました。よって，本年度は当該研究に労力を傾注して行きたいと思います。
また，昨年度行った調査データの不備の修正や，分析のベースになっている理論の修正によるデータの不備の解消の可能性の検証を通じ，結果的に被験者の記憶に頼らざるを得ない現状では，高い精度の「就業をめぐるミス・マッチ」のデータは得られないと判断しました。
よって，今後は研究のもう一つの大目標（2部構造の第1部に該当）である「ホテル従業員のES分析」に集中し研究の完遂を目指します。
|
| 次年度の研究費の使用計画 |
予算の繰り越しが生じた理由は，予定していた第2回以降の予備調査が実施出来ず，本調査の実施も次年度へ繰り越さねばならなくなったためです。
繰り越しの理由は前出の通り，所属機関の移籍に伴う環境変化への対応コストが存外高かったことが一因です。しかし，予備以降の調査遅延の最大の理由は「現在までの達成度」に記した通り，第1回の予備調査の結果から，ホテル従業員の「就業をめぐるミス・マッチ」の調査・分析の実行可能性の判断に時間を要してしまったことにあります。
次年度の支出は，1.調査結果の集計作業のための「人件費・謝金」の増額，2.（昨年度予定していた）石垣島に加え，久米島や宮古島といった離島への出張費の増額，3.研究機関の移転に伴う研究環境・施設整備費，4.調査結果の比較・調査のための国内外の出張費，の構成に変更したいと思います。
項目1は，短期間で多くの調査・分析を効率的に行うためさらに，集計作業員を確保するための増額です。2は，「沖縄ホテル協会」の全面協力が得られたことによる調査地域の拡大に伴う増額です。3は，研究機関の移籍に伴い，前任校に返還した設備，文献等（資料）のうち，昨年度補充し切れなかったものや新刊を拡充するための変更です。4は当初から予定していた，研究成果に関する意見交換や追加調査のためのUNWTO訪問等，国内外の機関，組織への出張旅費の申請です。
|
