研究課題/領域番号 |
23614024
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
三浦 知子 立教大学, コミュニティ福祉学部, プログラム・コーディネーター (30552690)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 都市農村交流 / グリーン・ツーリズム / 社会的企業 |
研究概要 |
本研究では生協等の各団体が行ってきた産直取引から進められた交流活動(1)、日本生協連合会による「グリーンライフ」事業(2)について、交流・観光の側面から分析しその特徴を明らかにすることを目的とする。本年度は研究全体の基礎調査時期と位置づけ、主に文献とこれまで実施してきた地域における調査を中心に行った。(1)については、生活クラブ生協と山形県庄内地域、パルシステムと新潟県旧笹神村(現阿賀野市)の産直提携について、先行研究に基づき関係者へのヒアリング調査を行った。両者は取組み開始時期や会員生協の理念や特徴に違いがあるものの、産直提携の推移や、交流会が産直提携や地域組織や交流施設の発展にも影響しているなどの共通点があることが明らかになった(2)については、まず基礎的な資料を収集し、グリーンライフ(以下「GL」)事業を初めて実施した長野県飯山市の担当者へのヒアリングを行った。さらに事業を担当する日本生活協同組合連合会(以下「日生協」)の担当者へのヒアリングを行うとともに関連資料を収集した。合わせて組織の概略や歴史を整理した。日生協は約360の生協が加入する全国連合会であり日本最大の消費者組織である。事業内容として、「商品事業」「通販事業」「会員事業支援」に加えて「旅行事業」がある。その中のひとつである「GL事業」は生協や産直提携の理念や交流活動の中から生まれたものであり、「運動」と「事業」の両立、各会員生協が構築した産直地域とGL事業対象地の相違による問題等も抱え、事業の発展には時間とさまざまな調整が必要だったこと、また飯山の企画は現在でも参加者の登竜門的な役割を持ち、ひとつのモデル地域として位置づけられている点が明らかになった。 (1)と(2)の関連性や連続性について、本年度は分析を深める。合わせて調査対象地を広げ比較対象するとともに、産直交流のフレームをまとめていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グリーンライフ事業に関しては、グリーン・ツーリズムの分野ではこれまでまとまった資料が少なくその詳細がつかめなかったが、日本生活協同組合連合会、飯山市へのヒアリングを通じて事業の概要や理念について把握することができた。合わせて1960年代以降のいわゆる生協の推移について体系的にまとめられた資料を得て、会員生協の流れを整理することができた。産直交流については当初予定していた長野県松本市については、産直提携をしている団体の主体が近年変わったこともあり今後研究対象地とするかを検討している。岩手県久慈市については東日本大震災の影響もあり、今後再度検討したい。時代による変化や生協の統廃合が頻繁にあることもあり、体系だったデータを入手することが困難であることから、定量的ではなく定性的分析方法を考えていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
産直交流を介した地域を中心とした研究を計画していたが、生協の組織形態の変化、連帯や連携など組織統廃合が頻繁になされていることから、産直交流の体系だったデータを得ることが困難であることが調査を通じて判明した。よって今後は産直交流を介さない地域についても調査を加え、交流活動面での相違等を比較検討し、定性的な分析も進めていく。これまで調査してきた山形県庄内地域、新潟県阿賀野市、長野県飯山市については引き続き調査を進め、生協へのヒアリングや資料、文献等から得た内容について検証していく。グリーンライフ事業については、日生協はこれまで調査を行っていた「生活クラブ生協」「パルシステム」とは別の生協グループである「コープネットグループ」のウエイトが大きいことがわかったため、コープネットグループが推進してきた産直交流に関しても追加調査を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度繰り越した経費については、予定していた消耗品、研究資料の購入、資料整理のためのアルバイト人件費、研究関連の打ち合せ費として執行予定である。今年度予定していた成果報告のための海外旅費に関しては、新たに調査を行う国内旅費として優先的に使用予定である。その上で当初夏に計画していた海外での成果報告に関しては、今年度冬以降の実施として計画する。現在作成中の各会員生協の推移を整理した上で、調査実績のある3地域については調査によって抽出したポイントを整理し各生協にヒアリング調査を行いながら、並行して現地調査費及び研究協力謝金として執行予定である。
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