研究課題/領域番号 |
23614026
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研究機関 | 横浜商科大学 |
研究代表者 |
宍戸 学 横浜商科大学, 商学部, 准教授 (00364290)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 学習型観光 / 教育観光 / 教育旅行 / 教育効果 / 体験観光 / 気づき / 事前学習 / 事後学習 |
研究概要 |
本研究は、学びを目的とする観光形態である「学習型観光」の教育的利用価値と今後の課題を検討するために、その教育観光のフレームワークを明らかにするものである。研究1年目は、修学旅行などの教育要素を持つ旅行および学びを目的とする観光商品についての基礎研究として以下の三点に取り組んだ。第一に、学習型観光と教育観光の関係性に着目し、教育の意義と学びの内容を整理し、教育のフレームワーク構築に向けて基礎的考察を行った。その結果、修学旅行の変遷やプログラム内容を検討する研究成果は見られるものの、学習型観光商品における教育の枠組みや効果を検証する研究はほとんど見られなかった。学習型観光の教育上の効果や課題は、個別事例で議論されることはあっても、共通の教育観光のフレーム構築に向けて検証されることは少ない。第二に、北海道・沖縄・九州などで観光地における観光機関及び旅行業・観光施設等の観光ビジネス現場の取り組み事例を抽出して聞き取り調査を実施した。その結果、教育効果をあげるための観光プログラムの商品化が数多く見られ、学習型観光の重要性が明らかとなった。一方で、その提供するプログラムの枠組みを調査したところ、体験メニューの例示と分類がメインであり、その教育効果を目的とするフレームワークの例示は非常に少ないことが判明した。 第三に、実際に実施されている学習型観光プログラムの具体的事例に注目し、その体験と学びの構造から教育の枠組みを整理した。事例は、子ども向け職業体験施設、大人向けの仕事体験プログラム、観光地における体験観光プログラムなどである。これらの体験メニューを分析すると、「事前の学習」「現場での体験」「事後の振り返り」が重要な教育の枠組みとして成り立っていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学習型観光に関する文献及び地域の取り組みなどの基礎的研究は、ほぼ予定通りの実施状況である。観光推進機関及び観光ビジネスや地域の教育プログラム事例については、概要把握のために早期に着手したため、予定より進行状況は早く、すでに個別のデータも入手し、2年目以降の事例調査の実施めどが立っている。一方で、教育旅行等を推進する各自治体を含む観光機関に対する調査票調査は実施出来なかった。これは2年目前半に実施する。
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今後の研究の推進方策 |
各自治体や観光推進機関に対する調査票調査を2年目に行い、全体像を把握し、現状と課題を明らかにする。また、初年度に予備的に実施した学習型観光のプログラムについて、より詳細な調査を進め、教育観光として構想したフレームワークをより詳細に示し、その妥当性を検討する。しかし、学習型観光の対象事例は予想以上に多いために、研究目的に合致するいくつかの事例に絞り込む必要がある。その上で、提供側だけでなく、体験を提供する側の問題意識や成果、さらには体験する側の評価などから教育的意味についても考察を行う。これらの研究成果についてまとめ、学会において報告する。
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次年度の研究費の使用計画 |
概ね予定通り推移しているので、計画に沿って使用する。地方自治体等観光推進機関に対する学習型観光の取り組み及び推進状況の調査票調査を行うとともに、学習型観光のプログラムの事例調査のために現地調査を実施する。そして、その成果を学会で発表する。これらの研究活動に対して使用するものである。
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