研究課題/領域番号 |
23614031
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
今井 信雄 関西学院大学, 社会学部, 教授 (60379485)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 観光 / 文化 / 資源 / 社会 |
研究実績の概要 |
2014年度は「武家の古都・鎌倉」および「北海道・北東北の縄文遺跡群」に関する資料収集を行い,これまでの調査地も含め,ほぼ全国的な「世界遺産暫定リスト」に関する現地資料を入手した。とくに「武家の古都・鎌倉」では,地元新聞記事データベースなどを閲覧,資料収集を行い,暫定リスト入りとなってからの,現地の状況の変化について情報収集をすることができた。本研究期間中に,暫定リストから世界遺産登録となった「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺産群―」および「富岡製糸場と絹産業遺産群」については,現地にて資料収集ずみであるが,登録状況後の地域社会の変化について,今後,追加の調査を行う必要がある。また「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」も本研究期間中に世界遺産登録となったが,これについては,今後資料収集の必要がある。 今後,研究成果を公表予定であるが,今までの本研究の知見から,観光文化に関する社会学的研究は,従来の「真正性」の議論つまり,「何が本当の文化か?」という問題設定とは別に,どのように新しく問題設定を立てることができるか,ということに照準する必要がある。とりわけ,世界遺産というしくみは「真正性」をしくみの中核に置いている。そのため,「社会の中でどのように作られるのか?」という社会学のスタンスがより重要となると言える。真正性は,対象の文化そのものの質的な側面を問題とするが,今後の観光研究は,その文化を取り巻く社会や集団の変化を捉えるためのアプローチが必要となることを,理論的に構築する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全国的な「世界遺産暫定リスト」に関する資料収集は終えているが,本研究期間中に暫定リストから世界遺産に登録された3件について継続的に調査研究を進める必要があり,そのデータをふまえたうえで包括的な研究成果を公表する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
暫定リストから世界遺産登録となった「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺産群―」「富岡製糸場と絹産業遺産群」「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」について,重点的に調査を行う。それにより,網羅的な暫定リストの状況と登録前と登録後という時間的な変化を踏まえたうえで,包括的な文化の資源化に関する社会学の枠組みを提出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度までに,国内暫定リスト13地区について実地調査を行い,成果をとりまとめる予定であったが,研究実施期間中に国内暫定リストから3件が世界文化遺産として登録され,新たな1件が審議予定となった。当初の予定より長期間で地域社会への影響を捉えることが必要となり,未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
それら地域社会への影響を追加調査として2015年度に行うこととし,世界文化遺産に登録された3件および審議予定となっている1件の調査地への調査旅費,現地での資料収集・図書購入・文具費・メディア機器等の購入費,本研究の報告書作成のための印刷費に研究費を充てることを予定している。
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