研究課題/領域番号 |
23615001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮本 浩一郎 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70447142)
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研究分担者 |
ハン ジュンギュ 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (40455928)
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キーワード | 化学イメージセンサ / 細胞アッセイ / スクリーニング |
研究概要 |
本研究の目的は、「ポータブル化学イメージシステムを用いた細胞層の透過率分布の可視化により、有害・有用化学物質の新規スクリーニング法を提案・実証」することである。昨年度までに、化学イメージセンサシステムの小型化を行い、ポータブルかつスタンドアロン動作可能な測定システムを開発した。細胞間接合の分布変化に基づく新しい細胞アッセイを提案し、効率的な化学物質スクリーニング法を確立するためには、このシステムを元として細胞層の透過率分布観察を行うための測定系の整備を行っていく必要がある。 本年度は、半導体センサを用いた測定の前段階として、メンブレン上に単層培養された腸管上皮細胞の電気特性を、金属電極によって測定するシステムを製作した。従来、細胞層の電気抵抗測定は手動によって1つずつ行われており、経時的な測定は煩雑で熟練を要するものであった。本システムでは、試料と電極を設置した後は、測定ボックスごと細胞培養器内に導入して自動測定を行うことができるため、簡便かつ高時間分解能の測定が可能となった。 さらに、上記システムを改良し、同時に4検体を測定できるように拡張した。抵抗値測定のみであれば最大4検体、位相遅延・進みまで含めた電気特性では最大2検体を各周波数で測定することができる。この系を用いた測定から、通常の化学イメージセンサ測定よりも低い周波数で光源を変調した方が電気特性の差違がはっきりと観測される可能性が示唆された。また、研究代表者の宮本が以前から提案している位相モード測定も適用可能である可能性が示された。さらに、測定ウェルの設計やシールドボックスの構造など化学イメージセンサを用いた測定系の構築に向けて様々なノウハウを蓄積することができた。以上の成果について本年は2件の学会講演(うち1件は招待講演)を通じて外部に発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに構成したポータブル化学イメージシステムを用いて細胞層の抵抗率分布を可視化するために、専用の測定系を新たに構築して細胞層の周波数特性を調査し、さらに細胞培養器内でリアルタイム観測を行うためのノウハウを蓄積した。申請書の段階では、細胞層をセンサ表面に直接培養することを検討していたが、細胞層に本来の機能を持たせるためには透過性のメンブレン上に培養することが望ましいようであるため、測定系の設計を変更した。つまり、センサ表面に測定ウェルを設置し、測定時のみセルカルチャーインサートを挿入して測定を行う。この構成は、先行研究で用いられてきた培養表面を用いるため、センサ表面の修飾や培養液中での長期安定性を考慮する必要がなくなる利点もある。 以上の成果に加えて、ハン博士の協力の下に、腸管上皮細胞の培養系を宮本の在籍する東北大学でも確立し、より迅速な研究をすすめる体制を整備した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに蓄積した技術によって、メンブレン上に培養された細胞層の抵抗分布を測定する。焦点になると考えられるのは(1)メンブレンとセンサ表面をできる限り接近させ、かつ固定する機構 (2)センサ表面に微細構造を設計することによってセンサ電流の経路を制限する機構 の2点である。これらの機構を適切に設計し、細胞層の抵抗分布測定に基づいた新しい化学物質スクリーニング法を提案する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことによるものであり、平成25年度請求額と合わせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。 次年度の研究は、培養細胞を用いて実験を行う段階であるため、培養に必要な消耗品を主として計上した。また、測定回路の改良や、測定システムを複数セット構築して筑波大学においても並行して研究を進める計画があるため、それぞれに必要な経費を計上した。 また、研究成果を外部発表するための旅費、論文を投稿するための校閲料を計上した。
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