研究課題/領域番号 |
23615002
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
小川 信明 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80169193)
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研究分担者 |
鈴木 雅史 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60226553)
水戸部 一孝 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60282159)
藤原 一彦 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10375222)
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キーワード | テラヘルツ顕微分光 |
研究概要 |
大気中へ浮遊するエアロゾルは,その性状が液体および固体であることを問わず,その環境影響や生態影響が近年問題視されている。そのためエアロゾル観測する手法及び,元素成分等を分析する目的で収集する方法が多く開発されている。しかしながらこれらの方法は,大気中に無数に存在するエアロゾル粒子の平均情報しか得られない。本研究の目的は,エアロゾル粒子の性状を詳細に解析可能な,テラヘルツ分光法を利用した新規単一エアロゾルのキャラクタリゼーション法を開発し,安心・安全な環境づくりに資することである。 主な研究項目は、1)テラヘルツ顕微分光測定系の構築:テラヘルツ領域で観測される水のスペクトルは溶液中に存在する塩・化合物に対して鋭敏に応答することが近年明らかになってきている。本研究ではまず,所属機関内に設置されるテラヘルツ分光装置の試料室内に設置可能な顕微分光測定系を構築する。この際テラヘルツ光の回折限界を考慮して,測定領域は50-500μmを目標として作成する。2)観測領域へのエアロゾルの捕捉:光ピンセット(レーザートラップ)を利用して顕微分光測定領域内にエアロゾルを補足する光学系を1)の測定系内に作成する。3)単一エアロゾルへの物質移動過程の観測:測定領域内に補足した液滴に対しアンモニアや塩酸等のガスを接触させ,その取り込み過程を観測する。 であるが、本年度は前年度に引き続き分光測定系の構築及び測定試行を重点的に行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
装置の構築と測定系最適化に開始当初の想定よりも大幅に時間を要していることが,申請した計画進行予定に対して遅れている要因と考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
分担者との情報交換および研究体制の連携を深め、当初の研究計画に追いつくよう迅速に研究遂行を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
塩化ナトリウム,硫酸アンモニウム等を始めとした,環境由来試料で比較的高濃度で観測される塩を溶解した水溶液を調製し,超音波ネブライザーによりエアロゾル化したのちに測定を行う。ここでは,塩の種類および濃度がスペクトルに与える効果を確認・検証する。また,顕微測定のみでなく通常の透過スペクトル測定も検討を行う。得られるスペクトルの妥当性はラマン分光測定等の他の手法も用いて検証していく。また,必要に応じて量子化学計算を行うことで,得られたスペクトルの解析を検討する。 顕微光学系の測定位置にHClガス,NH3ガスなどの気体を通気可能なチャンパを作成し,前項までと同様に超音波ネブライザーにより発生したエアロゾル粒子を導入して,テラヘルツスペクトルを観察することでガス状物質取り込み過程のリアルタイム観測を行う。
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