研究課題/領域番号 |
23615004
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
波多 宣子 富山大学, 理工学研究部(理学), 准教授 (90134999)
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研究分担者 |
田口 茂 富山大学, 理工学研究部(理学), 名誉教授 (80089838)
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キーワード | 有機イオン会合体抽出 / リチウム / 多環芳香族炭化水素 / ニッケル / 分配 / 抽出 |
研究概要 |
(1) 有機イオン会合体の抽出能と化学成分の分配挙動 (a) 6種類の多環芳香族炭化水素(フルオランテン,ベンゾ[a]アントラセン,ベンゾ[b]フルオランテン,ベンゾ[k]フルオランテン,ベンゾ[a]ピレン,ジベンゾ[a,h]アントラセン)のイオン会合体相(ベンゼトニウムイオン(Ben+)とトルエンスルホン酸イオン(TS-)あるいはエチルベンゼンスルホン酸イオン(EBS-))への抽出挙動について研究した。Ben+・EBS-のほうが,Ben+・TS-よりも抽出能が大きく,オクタノールの抽出能とほぼ同程度だった。(b) リチウムの分離・濃縮に使用したキレート試薬(兼イオン会合体構成成分)の再使用について研究した。上層はリチウム錯体を抽出する能力があり,再利用可能であったが,下層はリチウム錯体を抽出する能力がなく,再利用できなかった。 (2) 微量成分分析への応用 (a) 有機イオン会合体相抽出/酸逆抽出システムを開発した。水中のリチウムをキレート錯体とし,キレート試薬とゼフィラミンとのイオン会合体に抽出したのち,酸に逆抽出するシステムを開発した。このイオン会合体抽出による分離・濃縮/酸逆抽出システムをリチウムの液体電極プラズマ発光分析ばかりでなく,ニッケルの分離・濃縮/黒鉛炉原子吸光光度定量へ応用した。 (b) 水中の多環芳香族炭化水素の高濃縮分離/HPLC/蛍光検出,水田農薬の高濃縮分離/HPLC/UV検出に応用することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 微量成分分析への応用に関しては,有機イオン会合体相抽出/酸逆抽出システムを開発することができた。抽出した目的成分を酸逆抽出することにより,目的成分を有機イオン会合体から分離することができた。多環芳香族炭化水素や水田農薬を有機イオン会合体相抽出/HPLC定量に応用することができた。これらの研究成果を,日本分析化学会第61年会,第31回溶媒抽出討論会,平成24年度日本化学会北陸地区講演会と研究発表会において発表した。 (2) 有機イオン会合体の抽出能と化学成分の分配挙動に関しては, 6種類の多環芳香族炭化水素(フルオランテン,ベンゾ[a]アントラセン,ベンゾ[b]フルオランテン,ベンゾ[k]フルオランテン,ベンゾ[a]ピレン,ジベンゾ[a,h]アントラセン)のイオン会合体相(ベンゼトニウムイオン(Ben+)とトルエンスルホン酸イオン(TS-)あるいはエチルベンゼンスルホン酸イオン(EBS-))への抽出挙動について,第31回分析化学夏期セミナーで発表した。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 有機イオン会合体抽出を環境水中の微量成分分析へ応用する。 (a) リチウムの有機イオン会合体抽出/酸逆抽出/液体電極プラズマ発光分析法,および,ニッケルの有機イオン会合体抽出/酸逆抽出/黒鉛炉原子吸光分析法を確立する。有機イオン会合体抽出/酸逆抽出システムをリチウムの黒鉛炉原子吸光分析など,他の測定法あるいは他の元素に応用する。 (b) 有機イオン会合体抽出/HPLC蛍光検出による多環芳香族炭化水素の定量法を確立する。 (2) 有機イオン会合体の抽出能と化学成分の分配挙動について調べる。微量成分分析への応用を検討する化学物質などの分配比などを測定し,それらの化学物質の分配挙動について研究する。異なる有機陽イオン,有機陰イオンの組み合わせから生成したイオン会合体の抽出能について,たとえば,多環芳香族炭化水素などをモデル化学物質としてオクタノール/水分配定数と比較などから研究する。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に物品費(試薬類,器具類,超純水製造装置用消耗品,ランプ,アルゴンガスなど)として使用する。残りは,出張旅費,その他(論文別刷り代など)として使用する予定である。 物品費 400,000円 旅費 100,000円 その他 100,000円 計 600,000円
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