研究課題/領域番号 |
23615010
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
等々力 節子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品安全研究領, 上席研究員 (30353973)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 2-アルキルシクロブタノン / 食品照射 / 脂質分解生成物 / GC-MS |
研究概要 |
本研究では、脂肪酸(脂肪)の放射線分解物である2-アルキルシクロブタノン類について、2次代謝産物の多い植物性食品中での高感度分析法を開発し、照射後の消長を明らかにする。これにより、照射食品中の2-アルキルシクロブタノンに由来する健康影響(リスク)評価の基本となる、暴露量評価の基礎データの取得を目指す。また、同時に低線量(検疫処理線量)を照射した農産物の検知技術への応用の可能性を探ることを目的とする。 平成23年度は、超臨界流体抽出法とスルフォキシドカラム、シリカカラムを組み合わせた精製法を、2-ACBsの天然存在が報告されているナツメグ、カシューナッツに適用し、さらにGC-HRMSにより、分解能を高くしたイオン選択性を向上させた検出を用いることで、マトリックス中の2-ACBを高感度に検出することに成功した。ナツメグ中の0.016g/gFWの2-DCB及び0.032μg/gFWの2-dDCB及びカシューナッツ中の2-dDCB ;0.004μg/g FW, 2-tDCB ;0.008μg/g FW, 2-tDeCB;0.034μg/g FWを検出することが可能であった。一方、同一条件下で非照射試料中の2-ACBsは検出することができなかった。 2-ACBsの分析条件として、従来用いられているDB-5 より極性の高いDB-1701 の分離能を検討し、ナツメグの分析に於いては、2-dDCB 付近の夾雑物質をより高度に分離できることを見いだした。検出方法、分離方法を最適化することで、より高感度な分析の可能性が見いだされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災の影響により、食品中の放射能測定等の緊急調査案件が入り、当該研究に十分な時間を割くことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
23年度に達成不可能であった、アルキル基重水素置換体のサロゲートを用いた定量方法を検討し、分析の簡易迅速化、高感度化をはかる。また、植物性食品中に照射によって生じた2-ACBsの酸化分解等の動態について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究課題の推進のため、交付申請時の計画のとおり使用する。なお、次年度使用額907,584円は、食品中の放射能測定等の緊急調査等のため,本課題対応ができなかったための残額であり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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