研究課題/領域番号 |
23616001
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
畑田 出穂 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (50212147)
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研究分担者 |
堀居 拓郎 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (00361387)
落谷 孝広 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (60192530)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | メチル化 / エピジェネティクス |
研究概要 |
申請者らはこれまでに癌におけるエピゲノムの重要性(Hatada et al. Nature Genetics 1996, 14:171-173)に視点をおき、網羅的なアプローチ(Hatada et al. PNAS 1991,88:9523-9527; Hatada et al. Oncogene 2006,25:3059-3064)を用いて研究してきた。 エピゲノムのうちDNAメチル化の変化はそのかなめをなしており、特定の癌抑制遺伝子のCpGアイランド領域に起こるメチル化は癌化の機構と関連して注目を集めている。一方、癌のゲノム全体としては脱メチル化が起こることが知られている。これは主に繰り返し配列に起こるものであり、特にセントロメア領域の脱メチル化などによりゲノムの不安定化を招きloss of heterozygosity (LOH)を起こす原因となっていることが知られている。このように癌では一見矛盾するメチル化、脱メチル化という両方向の変化が同時に起こっているわけであるが、これがどのような機構により制御されているかに関してほとんどわかっていない。本研究は最近我々がみいだした癌特異的なDNAメチル化酵素の新規アイソフォームDNMT3B△5により、癌において観察される「癌抑制遺伝子のメチル化、セントロメア領域の脱メチル化という両方向の変化」を説明できることを証明するとともに、癌化への関与を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NMT3B△5の癌における癌抑制遺伝子のメチル化への関与の解明●DNMT3B△5強制発現による癌抑制遺伝子のメチル化 (畑田(代表))DNMT3B5発現の低い癌細胞株にDNMT3B5 cDNAを導入して強発現させ、癌抑制遺伝子がメチル化されるかどうかを網羅的なメチル化解析法(MIAMI法)を用いて調べた。●DNMT3B△5のノックダウンによる癌抑制遺伝子のメチル化 (畑田(代表))逆にDNMT3B5の発現が高い癌細胞株においてDNMT3B5特異的なsiRNA(エクソン4とエクソン6がスプライシングしてつながった配列に特異的)を用いてDNMT3B5の発現のみ減少させ、癌抑制遺伝子が脱メチル化されるかどうかを同様にして調べた。●がんにおけるDNMT3B△5発現と癌抑制遺伝子のメチル化の相関 (畑田(代表))複数の癌細胞においてDNMT3B5発現と癌抑制遺伝子のメチル化が相関することを調べた。 以上のように当初の計画どおりに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
DNMT3B△5の癌におけるセントロメア領域脱メチル化への関与の解明●DNMT3B△5強制発現によるセントロメア領域のメチル化 DNMT3B△5発現の低い癌細胞株にDNMT3B△5cDNAを導入して強発現させ、セントロメア領域の繰り返し配列であるサテライトDNA脱メチル化されるかどうかをBisulfite法で検討する。●がんにおけるDNMT3B△5発現とセントロメア領域の脱メチル化の相関がん細胞においてDNMT3B△5発現とセントロメア領域の脱メチル化が相関することを調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
メチル化解析のためbisulfite法のための試薬や細胞培養の培地、プラスチック類などを購入する。
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