研究概要 |
DNA脱メチル化に異常を示す新規変異体のスクリーニング:遺伝子トラップベクターが挿入された約80匹の成魚をUAS-GFPラインと掛け合わせ、遺伝子トラップラインの同定を行った。その結果、現在までGFP蛍光を発するトラップラインを見出すことは出来なかった。今後スクリーニング数を増やす事により、トラップラインの単離を目指す予定である。 Ten-Eleven-Translocation (Tet)タンパクの機能解析:ゼブラフィッシュTet2, 3遺伝子をクローニングし、発生過程における発現解析を行った。その結果、Tet3遺伝子が神経系に局在して発現していたことから、Tet3のノックダウン実験を行ったが、神経発生・形成に異常を見出すことは出来なかった。Tet2遺伝子との二重ノックダウン実験を行う予定である。 発生・再生過程におけるDNAメチル化変化の解析:発生・再生における5―メチルシトシン(5mC),5―ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)の変化・脱メチル化関連遺伝子の発現・新規メチル化関連遺伝子の発現を、in situ hybridization法・免疫抗体染色法・バイサルファイトシークエンシング法により解析を行った。その結果、尾ビレ切断後30時間に5mCと5hmCが一時的に減少すること、この一時的なメチル化の減少は能動的脱メチル化と協調的に起こること、再生芽でDNA脱メチル化関連遺伝子であるthymine-DNA glycosylaseの発現が上昇することを明らかにした。また、新規メチル化遺伝子の発現解析を行った結果、Dnmt3aaが発生過程では様々な器官において、再生過程では再分化領域で発現していることを見出した。更にゼブラフィッシュの発生・加齢におけるDNAメチル化の変化を調べた結果、受精後2日目からCpG アイランドショアにおいて、メチル化の減少が起こることを明らかにした。
|