研究課題/領域番号 |
23616004
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
斉藤 寿仁 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (50211925)
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キーワード | 脱メチル化 / 翻訳後修飾 / SUMO / ユビキチン / クロマチン / 塩基除去修復 / 細胞分化 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
近年、RNF4と呼ばれる真核生物で高度に保存されたSUMO鎖認識型RING型ユビキチンリガーゼが発見されたことにより、従来考えられていたSUMOとユビキチン修飾系の関連を再考しなければならなくなってきた。例えばポリSUMO‐ユビキチンポリマー鎖の存在を示すデータやRNF4によるDNA損傷・ストレス応答の制御に関する報告などは、ユビキチン修飾とSUMO修飾が協調・連携する新規なタンパク質の品質管理・シグナル伝達機序を想定しなければ説明できない。我々はSUMO相互作用因子の解析をする中で、RNF4を見出しその生化学的、細胞生物学的な解析を進めてきた。特に、RNF4がThymine DNA glycosylase (TDG) と複合体を形成し、塩基除去修復の機序を一部使用することでゲノムワイドのDNA脱メチル化に関わる可能性について、in vitroユビキチン化反応系やヒト培養細胞系を用いて検証を進めている。RNF4のユビキチン鎖形成反応についてin vitroで解析した結果、TDGおよびSUMO化TDGはいずれもRNF4によってユビキチン化を受けない一方で、RNF4のユビキチン鎖形成を促進する結果を得た。一方、細胞内の局在観察から、TDGとRNF4及びSUMO、ユビキチンが、MG132によるプロテアソーム阻害条件下でPromyelocytic leukemia (PML)ボディにおける局在が増強されることが示唆され、in vivoにおけるSUMO修飾、ユビキチン修飾及び脱メチル化修飾のクロストークにPMLタンパク質(tripartite motif protein 19 ; TRIM19)の関与が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
in vitroユビキチン反応系が効率よく動いている一方で、細胞内でのsiRNAなどを用いた解析が十分進展していない。生化学的な解析をより深化させる一方で、細胞を用いた解析の技術をさらに磨いていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
PMLボディーの関与やその他のクロマチン因子との関わりをin vitroおよび細胞を用いて解析していく。また、SUMO相互作用ドメインを用いたSUMO-ユビキチン鎖の濃縮法をもちいることで、RNFの基質群の解析をさらに進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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