本年度は研究最終年度であり,研究計画書記載の3つの課題について研究結果をまとめる事を目標として研究を推進した.一つ目の課題である,「コラーゲンペプチドの皮膚再生関連細胞に対する生理効果の検証」では,皮膚再生の指標となるMMP9の発現を指標として,前年度の結果を踏まえ,角化細胞の活性化を誘導するペプチドの同定を目指した.各種合成ペプチドを用い,解析を行ったが,特定の活性化ペプチドの同定には至らなかった.一方で,マウスを用いた皮膚再生モデルでは,実際に組織再生に機能するペプチドの同定に至った.二つ目の課題である,「水酸化プロリンによる血中コレステロール低下メカニズム」に関しては,コラーゲン由来のペプチドでは効果が認められない事を明らかにした.この結果は,アミノ酸である水酸化プロリン特有の効果であることを明示しており,この後の臨床応用に対して有益な情報を得ることができた.三つ目の課題である「強い抗酸化性を示すコラーゲンペプチドの細胞への影響,安全性の検討」では,in vivoの組織再生系を用い,特定のペプチドを塗布したところ,酸化ストレス軽減の傾向が認められ,実用化に向けて有益な情報を得ることができた.
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