研究課題
我々は今まで、必須脂肪酸欠乏時に産生されるミード酸(20:3n-9)が、以下の2つの経路によって、①18:1n-9→(Fads2)→18:2n-9→(Elovl5)→20:2n-9→(Fads1)→20:3n-9、②18:1n-9→(Elovl5)→20:1n-9→(Fads2)→20:2n-9→(Fads1)→20:3n-9、18:1n-9から産生されることを明らかにしている。上記の経路について、Elovl5が多価不飽和脂肪酸に基質特異性をもつことは明らかにされているが、一価不飽和脂肪酸の18:1n-9に対しては詳細な検討がなされていない。そこで、必須脂肪酸欠乏状態にある培養細胞から膜タンパク質を抽出し、Elovl5が18:1n-9に対しても鎖長伸長活性を有するかについて検討した。[14C]でラベルしたマロニルCoAを用いて鎖長伸長活性を調べた結果、Elovl5は18:1n-9に対しても伸長活性をもち、siRNAによるElovl5の発現抑制によってその活性は減少した。したがって、Elovl5は18:1n-9に対しても活性を持つことが示された。さらに必須脂肪酸欠乏マウスを用いた脂質解析でも、全てのミード酸の中間代謝物(18:2n-9, 20:1n-9, 20:2n-9)は肝臓に存在しており、特に経路2の中間物質20:1n-9が多く存在していた。以上の結果より、ミード酸は哺乳動物でも2通りの経路で産生されていることが示唆された。また、必須脂肪酸欠乏によるリン脂質の多価不飽和脂肪酸の経時的変化について調べた。その結果、ホスファチジルコリンの多価不飽和脂肪酸は他のリン脂質に比べて、早い段階から減少していた。したがって、食事による多価不飽和脂肪酸の変化はリン脂質の種類によって異なることが分かった。
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