研究概要 |
クローン病のエネルギー代謝に関する研究成果 活動期クローン病において、抗TNF-α製剤による治療の前後で安静時エネルギー消費量(REE)と呼吸商(RQ)の変化を検討した。その結果、REEは治療前後で有意な変化はないものの、RQは治療により上昇し、炎症が軽快すると燃焼するエネルギー基質が脂質から糖質へと変化することが明らかとなった。また、この変化にはpro-inflammatory cytokineのIL-6が関与することも確認できた。さらに、治療前のREEが高い群において、抗TNF-α製剤の効果が優れていることも確認した。これらの結果は英文誌に発表した(Nishida N, Sasaki M et al J Clin Biochem Nutr 53,122-127, 2013)。 潰瘍性大腸炎のエネルギー代謝に関する研究成果 重症から中等症の活動期潰瘍性大腸炎ではREEが高値であり、ステロイドや免疫抑制剤による寛解導入療法によりREEは有意に低下した。REEはLichtiger's indexなどの活動指数ともよく相関した。これらの結果から、活動期には体重あたり34~35kcal/日、寛解導入後は体重あたり約30kcal/日が必要エネルギーと算出された。このエネルギー代謝の変動にはpro-inflammatory cytokineのIL-6が関与することも確認された。一方、RQは治療後に上昇傾向にあったが、有意な変化ではなかった。これらの結果は、第29回日本静脈経腸栄養学会ワークショップにおいて発表した。
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