研究課題/領域番号 |
23617010
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平野 賢一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30332737)
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研究分担者 |
井上 裕康 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (40183743)
竹中 優 神戸女子大学, 家政学部, 教授 (20222101)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 栄養 / 中鎖脂肪酸 / 中性脂肪蓄積心筋血管症 / 動脈硬化 |
研究概要 |
症例由来皮膚線維芽細胞を用いた細胞生物学的研究を行った。1) 種々の炭素数、不飽和結合数のLCFAを症例由来皮膚線維芽細胞に添加して、細胞内中性脂肪含量、細胞死(アポトーシスやネクローシス)に、与える影響を検討した。LCFAでは、患者由来細胞において、中性脂肪含量の増加とともに、細胞死が生じることを観察した。2) 蛍光標識LCFAを用いて、細胞内のLCFAの動態について、共焦点顕微鏡、CARS顕微鏡などを用いて観察した。患者由来細胞では、LCFAが脂肪滴に輸送されることを見出した。3) 細胞内中性脂肪蓄積の分子基盤として、脂肪細胞分化のkey playerである peroxisome proliferated activated receptor-gamma (PPARg)の関与について検討した。患者由来細胞では、PPARgが過剰発現していた。次に、ATGL KOマウスを用いた動物実験を行った。このマウスは、心臓に中性脂肪が蓄積する結果、20週齢で約半数のマウスが心不全死する (Zechner et al. Science. 2006)ことが知られており、中性脂肪蓄積心筋血管症 のモデルとなる。そこでATGL KO マウスホモ接合体をコントロール食群、中鎖脂肪酸含食群の2群にわけ、生存曲線について検討したところ、中鎖脂肪酸含食群において、有意な寿命の延長が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた細胞生物学的実験を終了するとともに、動物実験において、中鎖脂肪酸を用いた食事療法がモデルマウスの寿命の延長を来すことを見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
開発した中鎖脂肪酸を用いた食事療法が、モデルマウスの心機能、脂肪酸代謝に与える影響を、心臓CT、心臓MRI、BMIPPシンチ、FDG-PETなどで観察、評価する。さらに、研究代表者所属機関で、経過観察中の中性脂肪蓄積心筋血管症患者に対する中鎖脂肪酸を用いた食事療法の効果を自主臨床研究により検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は多少異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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