研究課題
中性脂肪蓄積心筋血管症(Triglyceride deposit cardiomyovasculopathy, TGCV)は、代表研究者が見出した新規疾患概念であり、心筋、冠動脈にTGが蓄積する結果、重症心不全、不整脈、骨格筋ミオパチーを呈する疾患である。TGCV症例由来皮膚線維芽細胞を用いたin vitroの実験において、中鎖脂肪酸 (Medium chain fatty acids, MCFA)添加による細胞内TG減少、Adipose triglyceride lipase (ATGL)ノックアウトマウスを用いた動物実験によって、MCFA含有飼料を摂取した群では、心機能の改善、寿命の有意な延長を観察しえた。さらに、申請者所属機関附属病院で経過観察中のTGCV症例を対象に、MCFAを用いた食事療法を行い、その効果を検討した。対象は、ATGL 遺伝子欠損に基づく原発性TGCV 3例である。年齢は、40才から59才。1日の総脂肪摂取40g中の脂肪を10g から30gまで段階的にMCFAに置換した食事療法を行った。総カロリーは、1800 kcal/日とした。観察期間は、50日から3か月である。開発した食事療法は、充分に摂取可能であり、入院中の食事療法のコンプライアンスは、良好であった。検討した症例において、心筋内TGの減少、脂肪蓄積関連遺伝子の発現の低下、徒手筋力テストにおいて骨格筋ミオパチーの部分的改善等が観察しえた。以上より、MCFAを含有する食事療法は、TGCVの症状改善、予後改善に有用な可能性が示唆された。
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