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2011 年度 実施状況報告書

栄養代謝調節因子Foxo1が制御する膵ベータ細胞機能と寿命、糖代謝の統合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23617011
研究機関大阪大学

研究代表者

倭 英司  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20273667)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード栄養学 / 糖尿病
研究概要

Foxo1は細胞の栄養代謝状態を制御し、糖代謝のみならずストレス応答、寿命にも関与している。一方、代謝制御には液性因子としてインスリンが重要な役割を果たしている。そこで本研究では、栄養状態などの外的要因がFoxo1制御下のインスリン分泌機構を介し、どのように糖代謝やストレス応答、寿命に関与するかを解明する目的で、膵ベータ細胞特異的Foxo1ノックアウトマウスと当該マウスから得た膵ベータ細胞株を用いて分子レベルでの解析を行う。本研究は栄養状態を分子レベルでとらえる統合的な代謝栄養学の進展に寄与するものと考えられる。また、Foxo1下流経路の解明は新たな糖尿病薬の創薬にも多大に貢献し、社会への還元が期待できる。 平成23年度はFoxo1遺伝子座をfloxではさむ形のtargeting vectorを作成し、定法を用いてFoxo1 flox/floxマウスを得た。膵ベータ細胞特異的にFoxo1遺伝子を欠損させる目的でRIP-CreERマウスと交配し、Foxo1-KOマウスとし、Foxo1-flox/wtマウスをコントロールとし、Tamoxifen投与前後で各種インスリン分泌刺激試験を行い耐糖能の検討を行った。 その結果、有意ではないが、また、KOマウスの耐糖能はflox/wtマウスに比し、より良い傾向が認められ、Foxo1遺伝子がインスリン分泌を負に制御している可能性が示唆された。また、この傾向を顕著する目的で高脂肪食負荷も行ったが、有意な差は認められなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Foxo1 floxマウスは、妊娠しにくく、また出産数も少ないことがわかった。詳細に検討したところ、flox/floxにおいても、Foxo1が若干低下傾向にあることが判明した。今回作成した、flox のカセットの挿入部位は、Foxo1蛋白発言に影響を与えないように、3' UTRであるが、mRNAの安定性などに問題がある可能性がある。そこで、平成23年度は、元来、B6バックグラウンドで作成しているflox/floxマウスの遺伝的バックグラウンドをBDF1に変更し、flox/floxマウスのn数を増やすことを試み、解析に供した。BDF1バックグラウンドにしたことで挙児数は増えたが、個体間のばらつきが増えたため、耐糖能に関しても有意さが得られなかったものと考えられる。 しかし、Foxo1のin vivoにおける役割をおおよそ類推することが可能であり、平成23年度の目的に達したものと考えている。

今後の研究の推進方策

平成23年度で得られたin vivoの結果を考慮し、in vitroの検討を行う。我々はFoxo1遺伝子欠損膵ベータ細胞株を得る目的で、Foxo1 flox/floxマウスとIT6マウスを交配し、その膵腫瘍からFoxO1-flox-MIN6細胞を得た。この細胞にCre発現アデノウイルスを投与し、Foxo1遺伝子欠損膵ベータ細胞株(FoxO1-KO-MIN6細胞)を得た。この細胞株を用い、グルコース、アルギニン等によるインスリン分泌試験を行う。また、飢餓状態を再現するために、血清除去条件化での培養を行い、インスリン分泌能を評価する。また、resveratrol添加による影響も合わせて検討する。また、Foxo1は種々の外的ストレスに応答することが知られているので、高血糖のストレス、過酸化水素などを用いた酸化ストレス、ThapsigarginなどのERストレスによる影響についても検討を行う。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度は、細胞の培養実験および分泌実験を中心にin vitroの検討を行ってゆく。そこで、培養に係わるウシ血清等の高価な試薬を購入する必要がある。また、分泌実験のためにインスリンELISAキットなど高額の消耗品を多用する必要がある。また、in vitroで得られた結果を再度in vivoに適応する目的で、KOマウスの維持と検定、特に前述したように遺伝的バックグラウンドの調整を行うあるため、多くの交配を行う必要があり、動物実験施設の利用使用に多くの費用を投ずる必要がある。

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公開日: 2013-07-10  

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