研究課題/領域番号 |
23617013
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
東川 史子 広島大学, 大学院医歯(薬)学総合研究科, 特任准教授 (70346534)
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研究分担者 |
杉山 政則 広島大学, 大学院医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30106801)
野田 正文 広島大学, 大学院医歯(薬)学総合研究科, 特任講師 (40457289)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 抗肥満作用 / 植物乳酸菌 / 臨床試験 |
研究概要 |
肥満、特に内臓脂肪肥満は、様々な生活習慣病のリスク因子であり、我が国の成人の25%が肥満であることを考えると、その対策が急がれる。我々は、果物の龍眼(ロンガン)から新規に分離した乳酸菌Pediococcus pentosaceus LP28(LP28)を高脂肪食負荷の肥満マウスに経口投与すると、体重増加抑制、内臓脂肪の蓄積抑制、および脂肪肝を改善する作用があることを見い出した。そこで、LP28による抗肥満作用のメカニズムの解明および関与成分の特定を目指すために、より詳細に検討できるin vitro実験系を用いて研究を進めた。マウス肝由来のHepa 1-6細胞株にオレイン酸を添加し培養することにより、細胞内への脂肪蓄積(脂肪肝化)が生じるが、LP28の生菌存在下でオレイン酸を添加すると、脂肪蓄積量が有意に低下した。また、LP28の培養上清のみを添加した場合においても脂肪蓄積抑制の傾向が認められたことから、LP28菌体そのものではなく、LP28が産生・分泌する成分が脂肪蓄積を抑制した可能性がある。LP28添加後のHepa 1-6細胞のウエスタンブロット解析によると、不飽和脂肪酸の合成に関与するStearoyl-CoA desaturase 1(SCD1)の発現が、添加したLP28の濃度依存的に低下していた。一方、肥満マウスへの経口投与実験で抗肥満作用や脂肪肝抑制作用が認められなかった植物乳酸菌Lactobacillus plantarum SN13Tの存在下では、SCD1の発現低下は生じなかった。その他、ヒトにおいてLP28の抗肥満効果が認められるか否かを検証する臨床試験を平成24年度から開始するために、今年度はヒトが摂取する十分量のLP28の確保などの準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各年度の予定の順番を少々変更したが、in vitro実験の結果やヒト臨床試験の準備の進み具合を勘案すると、達成度としてはおおむね順調と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、引き続き、関与成分の特定や作用メカニズムについて追求していく予定である。また、LP28のヒトにおける抗肥満作用の有無を検証するための臨床試験を開始する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続き、植物乳酸菌LP28の抗肥満作用の関与成分の特定や作用メカニズムを解明すべく、分子生物学用試薬や細胞培養試薬、実験動物に関連する消耗品購入に研究費を使用する。また、平成24年度は臨床試験を開始する予定であり、その試験食の経費や臨床検査費用、通信・運搬費用などを想定している。
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