慢性腎臓病が進展すると、たんぱく質エネルギー栄養障害により、骨格筋萎縮が生じる。その骨格筋萎縮の機序を明らかにし、治療法を確立するための検討を行なった。腎不全モデルラットを用いた研究では、腎不全は筋蛋白合成を抑制して筋萎縮を起こすことが明らかになったが、腎不全の治療に用いられる低たんぱく食療法の影響は軽微であった。透析患者における研究では、テストステロンや筋蛋白分解に関わるプロテアソームの血中濃度が筋肉代謝の指標となることが明らかとなった。以上より、慢性腎臓病患者では、これら適切なバイオマーカーを指標として、尿毒症状態を改善することが、骨格筋萎縮の予防・治療になると考えられた。
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